86．系統とは ページ37
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「いまから、水見式を行う」
言われたとおり水を持ってきた私に、カルロスさんは開口一番そう言った。
......え、水見式？
「水見式って....あの水見式ですか？」
「ああ。あの水見式だ。わかっているなら話は早い。」
ほれ、と差し出された一枚の葉っぱ。いや、ほれ、じゃなくてだな。
「い、いきなりすぎません？もうちょっと準備するとか」
「いいから、黙ってやれ」
あ。これだめだ。拒否権とかないやつだ。
しぶしぶ葉っぱをコップの水に浮かべ、手をかざす。
「何にも起こらなくても知りませんからね。後で怒んないでくださいよ」
「はいはい。」
人の話はちゃんと聞けや。
少々怒りを込めながら、オーラを掌に押し集める。そして、水を灌ぐようにコップに向かって注ぎ込む。
風と揺れる木々のこすれる音が道場に響く。
数秒たっても目立つような変化はない。葉っぱも置かれた場所からピクリとも動かない。
「水をなめてみろ」
小指を水につけ口に運ぶも、別に何も変わった味はしない。
「とくに、変わった様子はないです。やっぱりまだ私にははや」
「ちょっと待て、見ろ」
私の言葉を遮るカルロスさんが指さすのは、やはり何の変化もないコップと葉っぱ。
なんにもないじゃないですか、と口を開きかけた時、コップに微妙な違和感を持った。
言葉にできない違和感。何かが変わったことは確かだが、それが何かわからない。
なんだ.......？何が違う.....？さっきよりも
「水が、増えた.....？」
「いや、違う。コップを調べてみろ」
コップ？水じゃないのか？という疑問をそのままに、言われるままにコップを触る。
指の腹がガラスのコップの表面に触れたとき、全ての違和感が解けた。
「これ....ガラスじゃない。氷だ」
同意を求めるようにカルロスさんへと目を向けると、彼は腕を組んだ姿勢のままうなずいた。
先刻までガラスだった氷の器は、私の体温で触っているところからどんどん解け始めている。
そうか。コップの水位が上がっているように見えたのは、コップ自体が小さくなっていたからか。
「お前はどうやら特質系のようだな」
「みたいっすね」
「マグナと一緒だ」
ハッとしてカルロスさんの横顔を見上げる。
その視線の先ははるか遠くへ向いていて、何を考えているかはわからない。
「卒業おめでとう。裏ハンター試験合格だ」
それは私とカルロスさんの修業が終了したことを意味すると同時に、
私たちの恩師を探す旅の始まりでもあった。
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おじいちゃんパンチ - 天才よ帰ってこい (4月2日 14時) (
レス) @page39 id: 14d47f2dfd (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - 久々に占ツクで面白い作品見つけました。更新待ってます。 (6月18日 19時) (レス) @page39 id: f494c8d92f (このIDを非表示/違反報告)
猫(プロフ) - 凄く面白かったです！！更新待ってます！ (2022年6月23日 14時) (レス) @page39 id: 846f3d2d4a (このIDを非表示/違反報告)
ねこ@自己満小説(プロフ) - 約2000人の人があなたの帰りを待ってます！それはもちろん僕も同じです！なので早く戻ってきてください。 (2021年11月28日 21時) (レス) @page39 id: d675a829f6 (このIDを非表示/違反報告)
キーさん(プロフ) - すごく面白かったので続きが見たいです!!!更新待ってます！ (2021年8月17日 8時) (レス) id: 1d2c287881 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みんくる | 作者ホームページ：http://nanos.jp/connector/
作成日時：2015年7月15日 19時
