【HUNTER×HUNTER】落下速度とはためくスカート

44.私は貝になりたい ページ44

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「ヒソカさんから伺いました。」
「チッ！あのクソピエロが。」

よ、よかったあああああああ！！信じてもらえたよ！この世に和睦はあったんですね！！
今なら喜びの舞Ｖ3を踊れそうです安西先生！バスケはしたくないです！

「じゃ、じゃあそういうことで失礼します！」
「ちょっと」
「ぐえ」

襟首近くの服を引っ張られた。
流石暗殺家の腕力ですね。もうわたしのSAN値はゴリゴリ削られていきます。

「ヒソカの居場所知ってる？」
「い、今いるとこは知らないですけど、紅い蝶が飛んでいく方向を探せば見つかりますよ。」

ふうん、と言ってイルミさんは私の服を掴んでいない方の手を顎に当てた。
あ、あのーそろそろ離してくださいませんかね？首が？限界なんですけど？

「じゃあ、紅い蝶探して。」

ほわっつ？発音よく言うとＷhat？

「え？・・・・・・・え？」
「だから、その蝶を探せっつってんの。もうプレートも手に入れたんなら暇じゃん」
「へ、へい。わかりやした」

うおおおおおおお！？なんでだなんでだ！！
いや、イルミさんなら蝶の一匹や二匹、難なく見つけられるだろうに！
なんで私をこき使うんだよおおお！！

「ほら、行くよ。」

襟首を掴まれたままズルズルと引きずられている。
夜は深い。









こんにちは皆さん。一晩中歩き回ったAです。
和睦はないのでしょうか？

あのあと必死に探し回って一匹だけ蝶を見つけて、それからはずっとその蝶のあとを追っている。
それがまた、大変だったのだ。
あっちへフラフラ、こっちへフラフラ。という具合に行く方向がまちまちなのだ。

パトラッシュ・・・・なんだか僕・・・眠いんだ・・・・。

完全に徹夜のせいですね。ありがとうございません。


「あのレストラン、」
「はい？」
「悪くなかったよ。」

イルミさんが針で顔を変形させながらそう言った。
ゴリバリゴキィ！というとんでもなく心臓に悪い音を立てながら、
みるみるうちに顔がギラタクルへと変わっていく。
うっわ、すごい。




それから数分後、紅い蝶は急に向きを変えて山の方から平地の方へ飛び始めた。
もちろん追いかけて私たちも平地へと歩き出す。

突然、ジャリ、と後ろの方で音がした。

イルミさんは足音を立てない。ならばこれは、



振り返ろうとした刹那、ヒュッと風を何かが切る音が聞こえた。
瞬間、体の中心に物凄い衝撃が走る。

熱い、痛い、苦しい。


口から溢れる何かをごぽりと吐き出した。





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