初恋 (ページ11)

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私が返事をすれば

" 決まりー " って楽しそうに

私の手を引いて歩く。

行動の全てが慣れていて

私とは真逆の人間なんだ、と思い知る。

着いたのはちょっとお高そうなマンション。

これからもっと売れたら

もっともっと届かない人になるんだろうな、

なんて余計なことを考える。

広「どうぞ」

いつの間にか広臣くんの部屋まで着いていた。

『お邪魔します．．．』

そう言ってヒールを脱ぐ。

リビングに通され、

広「好きなとこ座っていいよ」

とキッチンに行った広臣くんに言われる。

どこに座ればいいか分からなくて

とりあえずテーブルの端の方に座った。

広「どれ飲む？」

キッチンから戻ってきた広臣くんは

色んな種類のお酒を持って帰ってきた。

この後帰らなきゃ行けないし、

私は飲むと面倒くさいらしいから

アルコール度数３％の缶チューハイを選んだ。

広「じゃあ、改めてカンパイ」

缶と缶がコツンと音を鳴らす。

ぐびぐび飲む姿すらかっこいい。

広「Aちゃん、仕事何やってるの？」

広臣くんに見とれていたら急に話しかけられる。

" 会社員やってます。" って答えたら

" 同い年なんだから敬語やめてよ " って

またクスクス可愛い顔で笑った。

広「高３の時、俺いるの知ってた？」

" １回も話したことないし " そう付け足す広臣くん。

『知ってま...知ってたよ。

逆に広臣くんが私のこと知ってたのがびっくりした．．．』

敬語が出そうになりながら話す。

広「知ってるよ

Aちゃん、結構話題に出てたもん」

どんな話題で私の名前が出てたのかは

恐怖でしかないけど、少し嬉しかった。