5人で生きてゆく…part65 (ページ16)

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［智にぃside］

顎が痛くて
口が開かないのか、恐くて口を開けたくないのか…

翔がいくら「なにもしないよ」って伝えても
潤は「んん…」って。笑

「潤？冷やしておいてあげるから。ね？翔に少し
見てもらおうよ。すぐに病院じゃ嫌でしょ？」

潤「…」

頬に保冷剤を当てながら顔を軽く固定したら
もう逃げられないって思ったのか、潤の口が
今までより少し大きく開いた。

翔「ありがと…智にぃ。潤？少し触るな？」

潤「…っ、んん…」

手袋をはめた翔の手が口に触れた瞬間、潤の体も
ビクッと動いて、目がギュッと閉じられた…

いくら『痛いことはしない』って言われても、恐いし
不安だよね…

「…大丈夫、だいじょーぶ…」

潤「…ん」

頭を固定している手をポンポンとすれば、潤が
小さく頷いてくれた。

翔「あー…奥歯の歯茎腫れてるね…」

潤「…」

翔「痛いの奥歯だった？」

潤「…ん」

翔「ん、もう口閉じていいよ。とりあえず鎮痛剤
飲んで、ほっぺ冷やして、歯医者いくしかねーな」

潤「…んん」

まぁ、これ以外に選択肢はないよね。

歯医者に行きたくなさそうだけど…笑

「リビングいく？部屋で休んでる？」

潤「…いく」

不安顔のまま伸ばしてきた手を、翔が握ってくれた。

［雅にぃside］

和が登校したというのに、潤のやつ全然起きて
こなくて。

起きてきたと思ったら、歯がどうのこうのって
騒いでる。笑

今日は智にぃが仕事の打ち合わせで出掛ける日で、
翔にぃも午前中に大事なカンファレンスがあって。

潤は歯医者に一緒に行ってもらえると思って
いたのか「え…行っちゃうの？」って。

可愛いでしょ？笑

だから仕事が休みの俺が一緒に行くことになった。

潤は意外と繊細で恐がりだからね、フォローが
必要かもなって。

これでも俺はお兄ちゃんだし。笑

「ほら、早く行くよ？急がないと救急枠から
はみ出して迷惑かけちゃうよ～…」

潤「んん…」

いつも行ってる歯医者さんの午前診療が始まる前の
急患の患者さんの枠で智にぃが予約をとってくれた。

だから俺は、部屋でモタモタと着替えをしている
潤を急かしてるってわけ。

「不安なら、これ持ってく？笑」

潤「…さすがに持っていかねーわ…笑」

ベッドの上の白くまのぬいぐるみ。

さすがに連れていかないってさ。笑

でも少し笑ってくれて安心。

「お昼ご飯は潤の好きなもの食べようね」

潤「…ん、考えておく」

車の中でもなるべく楽しくなる話題をね。