3214.【6】 ページ14
［智にぃside］
翔「でも、俺が！
俺が傷付けたんだよ？」
雅「違うよ、翔にぃ…」
和潤「翔にぃ悪くないもん…」
翔「違くない！俺が、俺の態度が…」
翔が興奮してきて、呼吸が危うくなったところで
カウンセラーがストップをかける。
あれから、何度も話し合いとカウンセリングを
続けている。
『翔には味方がこんなにいるよ』って感じて欲しくて
今日はみんなでカウンセリングルームに。
双子がずっと気にしてくれてたから、経過を見て
もらうって意味も含めて。
もちろん翔には事前に相談して了承を得た。
『…ょにぃは、優しすぎる…』
翔の呼吸が整うのを待って、和が最初に口を開いた。
小さくて苦しそうで震えている和の声。
それでもしっかり俺らに届く…
カウンセラーは翔の背中をさすりながら、和が
話を続けられるように上手く相槌を打ってくれる。
和「俺が、すごく悪いことしても…ょにぃは、
最後はいつも、優しくて…」
カ「うん、そうだね」
和「俺…悪いこと、いっぱいするのに…
…脱走したり、薬とか体温計投げ飛ばしたり
嘘ついた、り…」
カ「そっか。それでも翔くんは許してくれるの？」
カウンセラーが気遣ってストップを掛けてくれ
なければ、限りなく出てきそうな和の悪さの多さ。笑
和「ん…すごく、怒るけど…でも、最後は絶対…」
カ「そっか」
翔「…っ、だって…」
カ「ん？…翔くん、なに？」
翔「和は頑張ってるから…」
翔は涙を零しながらも、カウンセラーと和を見ながら
しっかり呟いた。
翔と和の目がバッチリと合う。
そこには絆と信頼がしっかりとあって…
『だったら…悪い人には優しく、しないで…』
『自分のこと、傷付けないで…』
『優しい翔にぃが大好き…』
和が泣きながら伝えた言葉は、翔の心に優しく…
でもしっかりと届いて。
翔「…ごめん。…心配ばっかり、掛けて…」
和「俺の方が…翔にぃの、100倍…心配掛けてる、
もん…」
翔「…はは！」
和「…ふふ」
ギュッと右腕に和を抱きしめた翔は、手招きして
左腕で潤を抱き締めた。
潤も『翔にぃ大好き！』って泣きながら伝えて…
翔がみんなに優しいのは個性。
自分に厳しすぎるのも個性。
それはこのままに持ち続けて欲しいと願う。
でも『俺にくらい甘えなよ、お兄ちゃんなんだから』
って伝えておいた。笑
カウンセリングはまだまだ続くし、この先も同じ
ようなことで悩むことがあると思う。
少しずつ進んでいこうね、5人で…
END
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作者名：空
| 作成日時：2020年3月16日 21時
