3212.【4】 ページ12
［智にぃside］
最近、翔はいつも元気が
なかった。
でも『大丈夫だろう』って思ってたんだ。
今日も、仕事から帰ってきた翔は顔色が悪くて
活気がなくて…
声を掛けたら「大丈夫。でもちょっと疲れたから
部屋で休んでくるわ…」って。
1時間くらい部屋に篭っていた。
双子と雅紀も帰宅して、口々に心配していて。
「様子見てくるね」って2階に上がろうとしたら
丁度翔がフラフラっと出てきて、洗面所へ。
数分後に様子を見にいったけど、もう遅かった…
洗面台に手を付いた状態で俯いていた翔。
手首から流れた血が大量に…
すぐに雅紀を呼んで止血してもらって、救急車を
呼ぼうとスマホを手にとった。
そしたら翔が「ごめん！智にぃ、大丈夫だから！」
って叫んで。
雅紀も「血は止まりそうだよ」って教えてくれて。
それならば救急車を呼ばなくてよいか…と。
でも、このまま放っておくわけにはいかないし…
悩んでいたら和が「先生は？」って。
それで翔の先輩の先生に電話したんだ。
でもね、それに気が付いた翔がパニクり始めて…
止血してくれている雅紀の手を振り切って、こっちに
来ようとする。
『大丈夫だから！』
『先輩のこと呼ばないで！』
『迷惑掛けないで！』
翔の悲痛な叫び声が聞こえてきて…
雅紀が宥めて、双子の心配そうな声も聞こえてくる。
そっちばかりが気になってしまって…先生には
ほとんど何も伝えられなかった。
でも先生は分かってくれたみたい。
どれくらいの時間が経ったかは分からないけど、
こっちの状況は何も変わっていなくて…
インターホンが鳴って、先生が来てくれて。
リビングで取り乱している翔を見て、すぐに状況を
分かってくれた。
先生はすぐに「大丈夫だからね」って雅紀と双子に
力強く伝えてくれて…
先「雅紀くん、和くんと潤くんのこと連れて
2階で待っててくれる？」
雅「はい」
指示を出してくれた。
翔は「帰ってください！」「大丈夫です！」って
先生を押し返す。
普段の翔なら、先生に対してこんなことはしない。
そんな翔を先生はしっかりと受け止めてくれて…
「翔くん、分かったから…」って。
「この状況で、帰れるわけないだろ？」って。
「心配なんだよ…」って。
それでも「帰って」って叫ぶ翔としっかりと目を
合わせた先生。
「このまま落ち着けないなら、薬使うことになるよ」
って。
翔「…」
先「どうする…？」
さっきまでと少し違った厳しい声…
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作者名：空
| 作成日時：2020年3月16日 21時
