占いツクール
検索窓
今日:608 hit、昨日:3,248 hit、合計:267,301 hit

3162.【3】 ページ12

[翔にぃside]

厳しい状況になるだろうな…
とは思っていたけれど、実際に気管切開した雅紀を
目の前にすると辛い。

先「ほら、これ使いな?」

「ありがとうございます」

病室の空気が重くならないようにと、先輩がちょく
ちょく顔を出してくれる。

第三者が入ると空気がだいぶ変わって有り難い。

しかも先輩は、意識を取り戻した雅紀が俺らと
スムーズに意思疎通できるようにと、文字盤を
持ってきてくれた。

そのお陰で…

和「あ、寒い?」

智「そっか、寒かったか。ごめんね」

「電気毛布掛けようか」

雅紀の為にできることが増えた。

たまに意識は混濁することもあるけれど、雅紀は
文字盤を使って俺らの質問に答えてくれる。

やり取りが一方通行じゃないってだけで、こんなに
救われるんだな…って改めて感じる。

『痛い』『苦しい』『寂しい』

雅紀は負のワードもきちんと伝えてくれた。

先輩が「今の雅紀くんには辛さとか弱さを、みんなに
きちんと伝えることが大事」って話してくれた
みたいなんだ。

こんな状況だけど、病室は暗くなり過ぎることなく
みんなが『自分にできることを…』って気持ちで
いられる。

それなのに…

和「…っ、まさ、にぃ!!」

智「雅紀!!」

大きな痙攣が何度も雅紀の体を襲う。

その度に病状はどんどん悪化してしまって…

「雅紀?…伝えられる?」

雅「…」

何度目かの痙攣の後、手の震えが止まらなくなって
文字盤での会話も不可能になってしまった。

潤「せっかく…伝えてくれてたのに…」

和「…っ、んくっ…悔し、い…」

悪化する病状に、双子も涙を零す。

こんなに頑張っているのに…って思うと堪らなく
なるよね…

「雅紀?体、拭こうか」

智「気持ちよくなろうね」

双子が学校に行っている間に、体の清拭をする。

体には沢山のチューブがついているし、痩せてきて
しまっているから、双子にはなるべく見せたく
なくて。

たぶん雅紀も、弱った姿を弟達には見せたくないと
思うから。

「大丈夫…なにも心配いらない。な?」

雅「…」

智「そうそう。今はさ、気持ちいいな〜って思って
くれてればいいから。笑」

雅「…」

俺らに体を拭かれながら、雅紀の目が不安で揺れて
いるのが分かる…

体を自由に動かせなくなっても思考はしっかり
しているのが辛いところだと思うんだよね。

だから動けない体でも色々なことを考えてしまうし
この先のことを考えると不安で堪らなくなって
しまったりするんだと思う。

3163.【4】→←3161.【2】



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (271 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
4672人がお気に入り
設定キーワード: , 家族 , 病系
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2019年6月7日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。