3161.【2】 ページ11
［智にぃside］
ベッドの上でガタガタと
痙攣する雅紀の体。
すぐに翔がナースコールを押して、沢山のスタッフが
駆け付ける。
その中には翔の先輩の先生もいて…
先「ごめんね、少しソファーで待ってて？」
「…はい」
ポロポロ泣く双子の肩を抱いて、ソファーに移動。
薬剤の指示が飛んで、少し経ったら治った痙攣。
だけど雅紀の容態はよくなっていなくて…
翔「意識障害出てる…」
「…っ、そんな…」
呼び掛けにも応えなくなってしまった。
翔が「一時的なものだから」って説明してくれたけど
たくさんの器械とチューブに囲まれている雅紀を
見ているのは辛い。
双子も目を真っ赤にしながら…でも傍を離れようとは
しなくて、ベッドサイドで手を握って寄り添う。
病室には5人が揃っているのに、雅紀の「あひゃ！」
っていう元気な声が聞こえてこなくて、代わりに
聞こえてくるのは器械音。
それだけでも、俺らにとってはかなりのダメージ
なのに…
ピピー…ピピー…
夕方になってから、何度も呼吸の異常を知らせる
アラームが鳴り響く。
和「…っ、まさ、にぃ…」
潤「…っ、んっ、んくっ…」
「…大丈夫。ちょっと、こっちで待とう…」
その度に、先生も駆け付けてくれて翔と一緒に処置を
してくれる。
そのお陰で危機を脱していたんだけど…
「えっ…気管切開…」
翔「…ん、してあげた方が雅紀にとってもプラスに
なるから」
「そっか…」
気管切開が必要だという診断。
俺でもかなりショックを受けたんだから、和と潤の
ダメージは結構なものだと思うんだけど…
和潤「…お願い、します…」
先「偉いね、2人とも。翔先生に任せれば大丈夫
だからね」
和潤「…ん」
2人は思ったより落ち着いていてくれた。
翔「じゃあ、いってくる…」
「ん、頼むね…」
雅紀を処置室へと送り出し、俺は双子を連れて
屋上へ。
和「雅にぃ、…大丈夫だよね？」
潤「…よくなるんだよね？」
「ん、大丈夫。大丈夫じゃなきゃ、困る…」
和潤「…だよね」
和も潤も不安だったことを口にできたみたいで
よかった。
俺もね。
先生や翔の前では、なかなか言えないことも
あるから。
救おうと頑張ってくれている人達の前では…ね。
でも、俺らも病室から離れて3人でゆっくりと
話せたことで、改めて「信じようね」って気持ちを
確認することができた。
そのお陰で、気管切開を終えて戻ってきた雅紀を
きちんと迎えられたんだ。
「頑張ったね、雅紀」って。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4210人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空
| 作成日時：2019年6月7日 19時
