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［NO side］
その後も雅紀は
2匹の犬に出会って、頭を撫でさせてもらった。
別れ際には必ず『ワンワンまたね！まさき、折り紙
かってくるね！』と報告。
キラキラした笑顔に、見守っている智の顔も
ほころぶ。
2つしか年齢は変わらないけれど『可愛いなぁ…』と
しみじみ思うのである。
無事に100円ショップに到着した雅紀は、真っ先に
おもちゃのコーナーへ。
ここへきた時は、智と翔と必ず見にくるコーナーで
ある。
水鉄砲やシャボン玉を眺めて、目をキラキラ。
そのあとは、店員さんを見つけるために店の中を
ウロウロ…
お店の人がエプロンを着けていることは知っている
から、それを目印に探し回る。
智も雅紀を見失わないように、一生懸命に後を
付いていく。
もし、雅紀になにかあって泣き出すようなことが
あれば、すぐに助けるつもりだ。
智にとって雅紀は、大切な弟だから…
雅「…っ！！」
智「…いた！」
少し離れたところに、店員さんを見つけた雅紀。
雅「…あっ…」
智「…っ…」
駆け足で追いかけていくうちに店内奥のドアの中へと
入ってしまった店員さん…
目に見えてガックリ…と項垂れる雅紀。
それを見ていた智もまた同じくガックリ…
雅紀は仕方なく、またトボトボと歩き出した。
今度は品出しをしている店員さんを発見。
声を掛けようと近くまでいったけれど、なかなか
最初の一声が出てこない。
『がんばれ…まさき…』
智は心の中で何度もそっとエールを送る。
一方の雅紀は、一歩前進しては少し後退…
そんなことを繰り返していた。
明らかに不審な動き。笑
店「…1人できたの？」
雅「…ん」
気が付いた店員さんが先に声を掛けてくれた。
突然声を掛けられて少しビックリ。
でも、不安そうに頷いた雅紀に、若い女の店員さんは
「えらいね！おつかい？」と、笑い掛けてくれた。
『えらい！』という言葉が雅紀にエンジンをかけた。
いつもは兄達ばかりが、近所の人や幼稚園の先生に
『えらい！』と褒められているからだ。
『智くんと翔くんは、まぁちゃんの面倒をしっかり
見て偉いわねぇ』
『雅紀くんの鞄持ってくれたの？翔くんは偉いね』
などなど。
雅紀は大好きな兄達が褒められるのは、嫌ではなく
嬉しかったが、いつか自分も褒められたいとも
思っていたのだ。
雅「1人でおつかいなの！これ、同じのありますか？」
店「んふふ…こっちにありますよ。おいで？」
優しい店員さんが手を繋いでくれた。
これで、一安心。
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作者名：空
| 作成日時：2019年3月25日 20時
