3130.【トイレの失敗】 ページ30
［和side］
昨日から高熱で
頭がボーッとする…
「…ん、んん…」
翔「…辛いな。飲み物持ってくるね」
「…んん」
翔にぃの声も何だか遠くで聴こえた気がして…
頭に触れられた感覚も夢みたいな…現実みたいな。
意識がフワーッとしてる。
そんな状態だったからかな…
尿意を感じてトイレに行きたかったけど、起き上がる
ことができなくて、ボーッとフワーッとしてたら
下半身が温かくなって。
…あっ…
気が付いた時にはもう遅かった。
ベッドの上で漏らしてしまうという失態…
飲み物を取りに行っていた翔にぃが戻ってきて
「少し飲むか？」って聞いてくれたりするけど
それどころじゃなくって…
やっぱりね、すごくショックで。
目がどんどん潤み出すのが分かる…
翔「…どうした？…かず？」
「…」
翔にぃが異変に気が付いて、眉毛を下げて心配そうな
顔をする。
それを見たら、申し訳なくって堪らなくなって…
「…っ、ん…んくっ…んっ…」
翔「…かず？」
本格的に涙が止まらなくなってしまった。
翔にぃはどっか辛いじゃないかと頭を撫でてくれたり
しながら「…どうした？少し落ち着こうか…」って
優しく声を掛けてくれて。
胸元をさすってもらっていたら、少しずつ落ち着いて
きたから「出ちゃった…」って伝えたんだ。
そしたら翔にぃはすぐに分かってくれて。
「そっか、分かった。泣かなくていいよ」って。
体を起こす気にはならなくて、フォローにきてくれた
智にぃに抱き起こしてもらって、されるがまま。
「自分で着替えたい？」って聞かれたけど、フルフル
首を振った。
自分で着替える気力がない…
結局、ホットタオルで体を拭かれるのも、着替えさせ
られるのも、全部任せた。
恥ずかしくて目を開けるのが嫌になって、体調が
悪くてどうしようもない…って状況を利用して、
このまま眠ってしまおうと思った。
トイレの失敗は悪いことじゃないって、にぃ達は
いつも言ってくれるし、自分でも分かってる。
でもやっぱり恥ずかしさとか、虚しさとか…そういう
気持ちはどうにも出来ないんだ。
翔「足の付け根、冷やそっか」
「…ん」
変わらず優しく声を掛けながら看病してくれる
翔にぃと、優しく頭を撫でてくれる智にぃ。
どっちからも、たっぷりの優しさと愛を感じてる。
だから、逃げてばかりじゃなくて俺も伝えたい。
眠ってしまう前に「ありがと…」って、素直な
気持ちを伝えられてちょっと安心。
これでいいよね…
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作者名：空
| 作成日時：2019年3月25日 20時
