3125.【5】 ページ25
［翔にぃside］
潤が負った心の傷は
とても大きくて…
「…分かったから。な？もう泣くな」
潤「…っ、んっ、…んくっ…行かない、から…」
「ん、行かなくていい」
『ずっと休みたい』って言葉も、智にぃと俺は
そのまま受け入れたんだけど…
潤の中には色んな不安や迷いがあるみたいで
毎朝のように涙してる。
「おいで、潤…」
潤「…ん、んくっ…んっ…」
ベッドに上がって抱き締める。
雅紀と和はいつも通りに朝の準備をして、智にぃも
お弁当や朝食を用意。
だから俺が、潤の傍にいる。
こいつは一見、メンタル強そうに見えるけど、本当は
人一倍繊細で…自分には厳しくて、他人には優しい
心を持ってる。
それでいてプライドが高くて負けず嫌い。
そんな奴だから…
今回のことでダメージが大きかったことにも頷ける。
兄弟5人の中では、割と俺に似てるかな…と自分で
思ってる。笑
そんな気持ちもあって、俺から少しずつ話をして
いこうかなって思ったんだ。
智にぃと雅紀とも相談して、潤の気持ちを聞いて
みようってことになった。
「潤はさ、今どんな気持ちなの？」
潤「…っ…」
今朝も、いつものように「行きたくない」って
泣いて縋ってきたから、抱き締めてから問いかける。
触れられたくない話をされた潤はポロポロ泣きながら
俺のことを見上げてくる。
「泣かなくていいんだよ、潤。俺はさ、潤の今の
気持ちが知りたい」
潤「…ん、んくっ…」
「はは！泣き虫。笑」
溢れてきた涙をパジャマの裾で拭いてやって、もう
一度抱き締めて背中をさすってやる。
『無理に聞き出すのはやめよう』って約束したから
焦らずに、ゆっくりね。
その日はほとんど何も聞き出せなかったんだけど
時間を作っていくうちにポツポツと話をしてくれる
ようになったんだ。
「どんな顔して教室に入ればいいのか分からない」
とか「恥ずかしかった」とか色々話してくれた。
だから、俺からも「もし潤が、クラスメイトの立場で
潤のような友達がいたらどう思う？」って話をして
みた。
潤は「そんなのなんとも思わない」「気にしない」
って即答で。
ほらね？
もう答えは出てるんじゃん。笑
案外みんなさ、そんなもんなんだよ。
自分がいつ逆の立場になるか分からないんだもん。
他人のことをどうこう言う奴なんてほんの一部。
ほっとけ。笑
そう言ってギュッと抱き寄せたら、スリスリと
肩に顔を押し付けて甘えてくる。
たっぷり甘えてから、復活したらいい。
END
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作者名：空
| 作成日時：2019年3月25日 20時
