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［智にぃside］
車に乗ってしばらくして
翔の不調に気が付いたんだ。
本人はかなり頑張って隠そうとしているけど
ちょっと無理がある。
こうして俺にバレた後も、まだ『大丈夫だ』と
言い張る…
翔「…っ、けほっ…薬、持ってきてる、から…」
「無理して喋らなくていい。病院いこうよ…」
翔「んっ…けほっ…だいじょ、ぶ…だから…」
俺が何か言うと、対抗して喋ろうとしてしまうから
よくないね。
そう思って、有無を言わさず強制的に…
「ほら、いくよ」
翔「…平気」
翔は腕を掴んだ俺の手を振り払って「先に戻ってて。
落ち着いたら俺も戻るから」って。
翔「…っ、けほっ…けほっ…」
「ほら…無理して喋るから。病院、いくよ」
翔「…っ、いい！…けほっ、…けほっ…」
駄目だ…頑固過ぎる。
あんまり無理矢理にやり過ぎて、これ以上咳を
誘発させてしまっては怖いし。
「わかった…じゃあ、落ち着くまでここにいる」
翔「…っ、けほっ…ん、…っ…」
洗面台に手を付いて苦しそうに呼吸する翔。
その背中をさすりながら、どうやって説得して
病院に連れていこうかと考えている間に、翔は
咳を鎮めたらしい。
すごい根性だ。笑
「戻れそう」って伝えてきた。
翔「…っ、戻ったら、薬吸うから」
「…ん」
ここで俺がゴタゴタ言ったら、また咳を誘発して
しまうかもしれないからね。
言いたいことを、ぐっと堪える。
部屋に戻ったら吸入薬使うみたいだから、今よりは
落ち着くだろうから。
そしたらまた話そうかな…と。
和「あ！戻ってきた〜」
雅「家族風呂の予約してくるね！」
潤「ついでに少し散策してくる！」
興奮気味の3人がバタバタと部屋から出てきて
去っていく。笑
翔にとっては絶好のタイミングだろうね。
部屋に入ってすぐに鞄をガサゴソ。
ジップロックには吸入薬と薬がちゃんと入ってる。
準備万端ってことは、やっぱり前から喘息の症状が
出てたんだね。
思わずギロッと睨んでしまう。笑
そんな俺の視線を感じた翔は、背を向けて吸入薬を
使ってる。
まったくさ…
「…落ち着いてきた？」
翔「ん、もう大丈夫」
「もう大丈夫って…そんな治ったみたいな言い方
したって駄目だよ。…病院いこうよ」
翔「んーん、行かない。平気だから」
「だめ」
翔「行かない」
「駄目だよ、連れてく」
翔「…」
何度言ったって聞きやしない。
そのうち「ちょっと休むから」とか言い出して
座布団を枕にしてバフッと寝転んでしまった。
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作者名：空
| 作成日時：2018年9月6日 18時
