2967.【翔にぃの頭痛と和の発作】 ページ17
［翔にぃside］
医局のデスクで
おにぎりを一口かじってから頭痛薬を飲み込む。
一昨日から続いてる頭痛に悩まされてるんだ…
市販薬で誤魔化してないで、先輩にでも頼んで診察
してもらって薬を処方してもらえば一発なんだろうけど。
人手不足でワタワタと忙しいこの時期に、半日でも
休みをもらうのは申し訳ない気がして。
まぁ、結局は自分が休みたくないだけなんだけどね。
食事も、薬を飲む為だけにしている感じで…
だって食欲全然ないし。
こんなんだったら体にも良くないのは分かって
いるんだけど…
智「翔？ご飯は〜？」
「あ〜…軽く済ませてきたからいいや」
智「了解。あんまり、無理しないでね？」
「はーい、ありがと…」
23時くらいに帰宅しても、夕食を食べられるように
準備して待っていてくれる。
でもね、今は食べられない。
智にぃは俺が忙しいのを分かってくれてるから
多くには触れずに優しい言葉を掛けてくれるんだ。
それを裏切ったらいけないって分かってる。
でも、言い出せないんだよね…
智にぃにも先輩にも。
そのうち治るだろうって気持ちと、休んでる場合じゃ
ないって気持ちと、心配掛けたくない気持ち。
頭痛薬を飲み込んでベッドにダイブして目を閉じる。
少しの罪悪感を感じながら…
そんな日々が続いている。
［和side］
ここのところ、すごく体調もよくて発作もしばらく
起こしていない。
だからちょっとだけ浮かれてたんだ。
『少しだけやらない！？』
ゲームを準備して、潤にLINEを送る。
だって金曜日の夜だもん。
ワクワクして、そんな早々に寝てられないよ。笑
トントントン…
「んふふ…いらっしゃい！」
潤「やろーぜ！」
すぐに潤がきてくれて、布団の中からあらしも
ヒョコッと顔を出した。
潤「くはは！連れてきてたの？」
「そう！さっきね！にぃ達部屋にいったみたい
だったから、こっそり。笑」
潤「くはは！よかったな〜、あらし」
潤に頭を撫でてもらったあらしは「ウォン！」とは
鳴かずに、鼻をスンスン鳴らしてる。
鳴いたらバレちゃうもんね。
ほんとよく分かってらっしゃる。笑
潤「あ〜…負けちゃうよ…どうやんの？」
「貸してみ？」
日付を超えてもなお、潤と思いっきりゲームを
楽しんで、そのまま眠ってしまったみたい。
ギューッと胸を押し潰されるみたいな痛みに襲われて
目が覚めた。
すぐに分かったよ…発作だ！って。
あらしが大きな鳴き声を上げる。
ほんと、名犬だな…お前は。
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作者名：空
| 作成日時：2018年9月6日 18時
