2963.【2】 ページ13
［先輩side］
さっき病院から帰った
ばかりの翔くんから連絡があったから驚いた。
「処置室用意してあるよ…大丈夫そう？」
翔「ありがとうございます。…検査、お願いしても
いいですか？」
「ん、いいよ」
車椅子に乗せられた智くんは、俯いたまま両手で
頭を押さえてる。
かなりの痛みがあるんだろうね…
翔「ここ、寝れる？…手伝うから」
智「…ん」
智くんの体を支える翔くんの手は頼もしい。
これから髄膜炎の検査。
「先にちょっと採血ね」
智「…ん、んん…すみませ、ん…」
処置室のベッドに寝転んだ智くんの腕に触れたら
辛そうな目が俺を捉える。
そして謝るっていう。
こんな時くらいさ、気にしなくたっていいのに
兄弟揃って律儀なんだもんな…
「採血して、髄液も調べたらすぐに薬使えるから。
ラクになるから、もう少し頑張ってな」
智「…は、い」
サッと採血して看護師に託したら、髄液検査の準備。
翔くんが丁寧に説明しておいてくれたから、準備後は
すぐに検査に取りかかれた。
翔「体勢辛いのにごめんね…もう少しお臍見れる？」
智「…んん」
翔「そうそう。そのままちょっと体勢キープね」
ただでさえ体が辛い状態で、髄液検査は負担が
大きいけど仕方ない…
それに、翔くんが傍に付いててくれたら大丈夫
かなとも思う。
穿刺部位を消毒している間も、翔くんはずっと
智くんの肩の辺りをさすって励ましてた。
「少し背中押すからね…」
智「…ん」
頷くのを待ってから、針を刺す場所を確認する。
「ちょっと痛いの我慢してね…」
智「…ん」
翔「お願いします…」
いよいよって時、翔くんはお臍を見るように丸く
なった智くんの体を包み込むように固定して
「ちょっと辛抱してね」って優しく声を掛けた。
「…すぐ済むからね、頑張ろうね…」
俺も一声掛けてから検査を進める。
智「…、んっ…んん…」
翔「大丈夫、だいじょうぶ…」
智「んん…」
痛みが強くて、堪えきれずに漏れてきてしまう
苦痛の声。
翔くんは励ましながら肩の辺りを優しくさする。
智「…ん、んん…」
翔「大丈夫…ちゃんと頑張れてるよ」
「もう終わるからね…」
検査が終わると同時に、智くんの体からクタッと
力が抜けたのが分かった。
翔「止血するから、しばらく仰向けで我慢してね」
智「…ん、ありが、と…」
翔「ん。よく頑張ったね…」
翔くんが智くんの頭をゆっくり撫でる。
智くんは俺にも「ありがとうございました」って
伝えてきた。
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作者名：空
| 作成日時：2018年9月6日 18時
