2791.【3】 ページ41
［智にぃside］
地面に倒れた和の頬は
涙で濡れていて…
先「智くん、翔くんに連絡して？」
「…はい」
痙攣を起こして、体がビクビク震えてる…
それに失禁もしていて。
どれだけ苦しかったのかと思うと胸が締め付け
られる。
「…っ、かず…」
先「和くん…みんな心配してるよ？戻ろうね」
失禁で濡れてしまったズボンを隠すように、
着ていた白衣で下半身を包んでくれた先生。
和を大切に思う気持ちが伝わってきて、有り難くて
感謝しかなくて…
「…っ、ありがとう、ございま、す…」
先「みんなの元に、きちんと戻してやらないと…」
ストレッチャー到着までの短い時間にできる
限りのことをしてくれた。
「…っ、…んっ…」
先「泣くな。大丈夫だから」
不安で涙が溢れてしまう俺のことも気遣って
優しく声を掛けてくれる。
先「和くん、もう少しで病院だからね。頑張れ…」
「かず…大丈夫だから、ね…」
ストレッチャーに和を乗せて、病院まで運ぶ。
病院では翔が処置室で準備をして待っていて
くれた。
入り口でバトンタッチ。
翔「潤のことお願い…」
潤「…っ、かずっ…ごめ、ん…」
泣き崩れる潤の体を抱き締めて背中をさする。
今はただ、和の無事を祈りながら、潤に「お前の
せいじゃないよ」って伝えるのみ。
処置室の前で待つことしか出来ない。
雅「…智にぃ！！」
「雅紀…ごめんね、心配かけて…」
しばらくして、駆け付けてくれた雅紀も合流。
3人でひたすらに祈っていたら、処置室の扉が
開いて、翔がストレッチャーを押しながら
出てきた。
翔「落ち着いたよ…病室に運ぶね」
「…っ、ありがとう…」
寝かされた和は挿管はしていないけど、酸素マスク
を装着してる。
体にも色々と装着されてて、裸のままバスタオルを
掛けられている状態。
頭を撫でるために傍に寄ったら、目尻には涙が
零れた跡がある…
「…泣いたの？」
翔「…ん。意識は戻ってないんだけど、涙が
零れてくるんだ…」
「…そっか」
こんな状態で脱走をしたってことは、和なりに
何かしらの思いがあって、覚悟や葛藤があったの
かなって思うから。
そうじゃなきゃ、とても脱走なんて試みれる状況
ではなかった…
翔「…あ、起きるかな…」
潤「…かず？」
翔にも先生にも「なにが刺激になるか分からない
から、静かに声を掛けてあげて」って言われて
いたから。
「かず…？」
雅「…分かる？」
みんなでそっと体に触れながら声を掛けた。
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作者名：空
| 作成日時：2017年11月17日 22時
