2724.【3】 ページ24
［翔にぃside］
何度も肩を叩かれる
感覚があって…
「…ん、んん…」
智「翔、おはよう」
雅和潤「翔にぃ…」
病室の外はもう暗かった。
「ごめんね…」
一言だけ絞り出して、また目を閉じる。
4人は俺を不安にさせないように笑顔でいてくれて
いるけど。
心配掛けている自分が嫌で…
4人との関わりをシャットダウン。
そしたらいつの間にか院内に面会終了の音楽が
流れ始めて…
智「俺ら帰るけど、何かあったら先生のこと
呼ぶんだよ？」
雅和潤「また明日来るからね」
みんなは帰っていって、代わりに先輩が来て
くれたけど、何も話す気にはならなくて。
先「また様子見に来るな？」
「…はい」
でもせめて、返事だけはと思ったんだ。
これ以上、迷惑は掛けられない。
余計なことを考えなくて済むように、寝よう
寝てしまおうって思うけど眠れなくなって。
みんなに迷惑を掛けている自分が嫌で仕方ない。
もう何も考えたくない。
考える頭がなくなれ…って思って。
ガンッ…ガンッ…
足元のベッドの柵に頭を打ち付ける。
何度目だろう…
痛みも感じなくて、邪魔くさい点滴を抜いたころ
看護師さんが駆け込んできて「翔先生、
やめてください」って。
［先輩side］
看護師に呼ばれて翔くんの病室に駆け付ける。
額から血を流している翔くんは、看護師の手を
払って「俺は先生って呼ばれる資格なんて
ないんだ」って泣きながら叫んでる。
「翔くん？」
何度か呼び掛けてみたけれど、興奮状態で
状況が掴めていない。
「離せ！」「触んな！」って。
こうなってしまったら仕方ない…
鎮静剤で眠らせて、抑制帯で手足をベッドに固定。
「ごめんな…」
胸元まで布団を掛けて病室を出る。
翔くんに何もしてあげられない俺だって無力。
悔しいけど、仕方がないことなんだよ…
和「…っ、翔にぃ…っ、んくっ…」
智「かず、大丈夫。先生が付いててくれてるん
だから。ね？」
和「やだ！とって…とって、よ…外して…」
翌朝はさらに自分の無力さを痛感。
面会に来た和くんが、ベッドに拘束されている
翔くんを見て取り乱す。
そりゃ、そうだよね。
分かっていたけれど…
今朝智くんと相談して「双子にも会わせる」って
決めたから。
和「…っ、んくっ、やだ…やー…」
智「傷付けたら痛いから。この方が安心。ね？」
和「やー…っ、んくっ、とって…」
智「かーず…いいの」
和くんの手は何度も抑制帯に伸びる。
その度に智くんが優しく手を包み込む。
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作者名：空
| 作成日時：2017年10月3日 22時
