2605.【智にぃ、傍にいて？】 ページ5
［智にぃside］
バタン…
んっ…？
眠っていたらドアが開く音がして、ドドドドッと
足音が近付いてきて…
バフッ…
そのまま俺の体に何かが突進してきた。
「ん…かず？」
和「…」
背中にギューッとしがみ付いてきて、顔をグリグリ
擦り寄せてくる。
「かず…だろ？」
和「…」
振り向こうにも、コイツがいたら振り向けない。
脇腹の辺りを掴んでいる手を捕まえて
お腹の方まで引っ張れば…
んふふ…やっぱり。
小さめで柔らかくてプニプニした手が
和だと教えてくれた。
「やっぱり…和じゃん。…どうした？」
和「…」
「…ここで寝る？」
背中に手を回してさすっていたら…
和「…っ、んくっ…んっ…」
あれ…？
…泣いてる？
「どうしたの、かず…」
ちょっと体をずらして、無理矢理に振り向いたら
「んん〜…」って言いながら、今度は胸に
顔を押し付けてきて。
「夢？…夢見ちゃった？」
和「んっ…んくっ、…っ、ん…」
微かに頷いた気がする。
恐い夢でも見ちゃったかね…
「どんな夢見ちゃった？嫌だった…？」
和「…ん、んっ…、んくっ…」
様子を見ながら顔を上げさせたら、ポロポロと
涙を零しながら、コクコク何度も頷いて。
「…恐かった？」
和「…っ、んっ、んっ…」
「そっか、そっか…もう大丈夫だよ…
一緒にいるからね」
余程、恐い夢だったのか、またしがみ付いて
きたから、ギュッと腕の中へおさめる。
背中をさすっていたら、次第に落ち着いてきて
「智にぃがどっかに行っちゃうの…」「なんども
行かないで…ってお願いしたけど…」って。
「夢だから、大丈夫。ね？ここにいるよ」
和「…っ、んくっ…ん、…も、バイバイ、って」
「そっか。嫌だったね。でも、俺は和にバイバイ
なんて言わないよ？」
和「…っ、んっ…ほん、と…？」
「ん、ほんと。約束」
少し話をしながら落ち着くのを待って…
「ほらここ、おいで？」
和「…ん」
「こうして寝よう」
腕枕をしてあげて、胸元をさすっていたら
ウトウトし始めた。
まだ少し胸がヒックヒックと動くけど
大丈夫そうかな。
翔には一応、LINEで連絡をしておく。
もしかしたら、明日からの和の心に影響して
くるかもしれないから。
「大丈夫だからね…」
和「…ん」
目を閉じたまま小さく声を漏らした和を見て、
ふと思い出す。
小さい頃はよく『恐い夢見た』って
泣いていたなって。
その度に、今夜みたいに顔をグリグリと
押し付けてきたなって。
懐かしい…
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作者名：空
| 作成日時：2017年7月13日 21時
