2628.【5】 ページ28
［先輩side］
色んな装置を付けられ
点滴に酸素マスク。
さらに直腸温プローブを挿入。
「翔くん、ちょっと我慢してな…」
翔「…ん、んん…」
「ごめんな…。もう終わるから」
違和感、不快感で嫌がって唸ってる…
「とりあえず運んで。家族は来た？」
看「はい、お兄さん来てます」
スタッフに電話してもらったら、駆け付けて
くれた智くん。
翔くんの元に案内する前に、別室で経緯を説明
させてもらった。
智くんも怒りを表すことはなく「ありがとう
ございました」って。
翔くんの傍にいってからは「寒かったね」
「もう大丈夫だからね」って声を震わせて
涙を零していた。
まだ意識の戻っていない体を、何度もさすり
ながら…
研修医はその姿を両手をギュッと握り締めて
離れたところから見てる。
「家でお前のこと話してたらしいよ」
研「えっ…」
智くんから聞いたんだ…
『いい関係築けるように、絶対最後まで頑張る』
『実力あるんだから、このままじゃ勿体ない』
『あいつ、良いところも、いっぱいあるんだよ？』
呑みながら、そんな話をしていたらしい。
智くんは「愚痴も言ってましたけどね。笑」って
最後は少し茶化したけれど。
悔しいに決まってる。
こんなカタチで苦しめられるなんて。
でも智くんは「翔は、今回のことを知っても
指導医をやめたりしないし、諦めないと思うので。
それなら俺も」って。
ほんとに強い兄弟なんだなって…
翔「ん、ん…」
智「…翔？？」
「…分かるか？」
翔「…ん」
しばらくして、しっかりと意識を取り戻した
翔くん。
「あんな所に入ってすみません…」って
謝ってきた。
自分のミスだと思ってるんだね。
智くんから許可をもらって全てを伝えたら
「そうですか…」って、ちょっと悲しそうな顔。
でも「俺の指導に問題あったから…」って
最終的には自分を責めて…
そんな翔くんを元気にする為に、智くんは
「1泊だけ俺も泊まらせてください」って
お願いしてきて。
「たっぷり甘やかしてやって」と、許可を出した。
翔くんは「一人で平気なのに…」って言いながらも
智くんの手を離さなくって。笑
智くんと顔を見合わせて笑ってしまう。
数日後…
研「あの…本当に…すみませんでした」
深く深く頭を下げた研修医。
翔くんはイケめた顔して「もういいよ」って。
研「俺…翔先生みたいに…なります」
言いながら涙がポロポロと。
研修医が、この病院で初めて自分を出せた瞬間かも
しれないね。
END
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作者名：空
| 作成日時：2017年7月13日 21時
