2623.【4】 ページ23
［智にぃside］
和の言葉を聞いた先生が
「和くんの傍には、潤くんと先生と春亮さんが
いるからね。…大丈夫そう？」って確認を
取ってくれて。
和はその言葉にコクッと頷いた。
先「こっちは任せて」
「…ありがとうございます」
俺が和の頭を撫でるのを待ってくれてから
ストレッチャーは病院内へ。
雅「翔にぃのこと智にぃに託したら、俺も和の
ところにいくから…」
「ん、お願いね」
雅紀はずっと翔の傍に付いててくれたけど、
本当は和のことも心配で心配で…
すぐにでも駆け寄ってやりたい気持ちなんだと
思う。
和が翔の為に強がっていることにも、ちゃんと
気が付いているだろうし…
「駐車場に移動するね」
雅「ん。分かった」
このまま救急口に、車を停めておくわけには
いかないからね。
翔「…っ、和…かず…っん。ん…」
雅「落ち着いたら会いにいこうね…」
翔「…っん、和！やだ…今、いく…離せ…」
病院から少し離れたら、また取り乱した。
車を停めて、後部座席をスライドさせて俺も
翔の元へ。
「翔…恐かったよね。でも、大丈夫だから…」
翔「…っ、んっ、…ん、んくっ…」
ほんとはすぐにでも、こうして抱き締めて
やりたかった。
恐怖と不安でパニックになった翔を少しでも早く
安心させてやりたかったんだ…
弟の雅紀には縋らないこと分かっていたし、
雅紀も、自分には縋ってこないこと分かってた。
俺に抱きつきながらしゃっくり上げているけど
パニック状態ではなくなった。
雅「よかった…。よかったね、翔にぃ…」
翔「…っ、んくっ、ごめ、ん…」
「雅紀、ありがと…」
雅「ん。和のところ行ってくるね？」
「ん、お願いね」
雅紀は翔の背中を優しく撫でてから
車を出て行った。
これで、和もさらに安心するだろうな…
翔「…っ、んっ、んくっ…かず…」
「大丈夫だよ。先生と春亮さんが診てくれてる」
翔の顔を拭いてやりながら「意識もあったし、
小さめの発作だったんじゃない？」「もう少し
したら会いにいこうね」って伝えて。
コクコクと一生懸命に頷くから可愛くて…
ギュッと抱き締める。
「不安な時は、我慢しないでいつでも
泣いていいから」
翔「…ん」
翔は担当医って立場上、背負うものが大きいこと
分かってるつもり。
それに、不安になってしまうことは誰にでも
あるからね。
心がパンクする前に少しでも頼って欲しい。
少しずつね…
そんな話をしたら翔は「ありがとう」って
笑ってくれた。
END
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作者名：空
| 作成日時：2017年7月13日 21時
