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［翔にぃside］
「…んっ、ん…」
頻繁に起こる不整脈。
胸の痛みもさすがに増してきた。
だけど、一度引き受けてしまった仕事や、後輩の
悩みは投げ出すわけにはいかないし。
「…っ、はぁ、はぁ…」
家でも職場でも胸の痛みや息苦しさに
気が付かれないようにやり過ごす。
先輩には「過労で倒れる前に休め！」「先輩の
忠告は聞け！」って何度か叱られて。
それでも「分かりました」「すみません」って
その場しのぎの返答で誤魔化してきた。
和「ねぇねぇ、今日も早めに行くの？」
潤「次の休みはいつ〜？」
そんな日々が続いた土曜日の朝、ソファーで
いつもの様に体調チェックをしていたら
甘え出す双子。
ゆっくり時間を取って、そろそろ遊んで
やらないとな…
早めに出勤しようと思っていたけれど…
「今日は9時くらいに出るから、少しゆっくり
できるかな」
話だけでも聞いてやらなきゃと思って、そう返す。
そしたら和が「やったぁ〜！きゃはっ！」って
お腹にギューッと抱き付いてきて…
こういう時間を取ってやれていなかったから
寂しかったんだろうね…なかなか離れなくて。笑
隣に座る潤と話しながら、お腹に引っ付いた和の
頭を撫でていたんだけど…
「…っ、ん、ん…」
感じ始めた不整脈の症状。
胸が痛み出して。
呼吸は普通にして必死に隠すけど…
和「…翔にぃ？」
「…なに？」
それまでお腹にくっ付いてグリグリと甘えていた
和が、不思議そうな顔をして見上げてくる。
うん、言いたいことは分かる。
分かるけども隠したいから…
「何か飲もっかな。ちょっと離れて？」
和「やだ！」
肩を掴んで離させようとしたら、抵抗して
さらに顔を押し付けてきた。
「かーず、いいから…」
和「…」
しばらく黙って俺の胸の音を聞き入っていた和が
「雅にぃ、聴診してあげて」って叫んで…
やべぇ…もう逃げ道はない。
智「なに？…体調悪いの？」
「いや…」
ギロリと智にぃに睨まれ…
雅「翔ちゃん、大人しくしてよーね？笑」
「…」
雅紀に聴診器を当てられる。
雅「これは酷いね…自分で気が付かないはず
ないよね？」
「…は、い」
智「職場に連絡して？ちょっと休もう」
「…ん、分かった。でも急には無理だから…」
和潤「翔にぃ…」
雅「無理しないで…」
みんなからの視線が痛い。
その後も説得は続くけど「休む」とは言えず…
「…っ、はぁ…んっ、ん…んっ…」
今までに感じたことがない酷い痛み。
俺は意識を失った…
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作者名：空
| 作成日時：2017年5月4日 13時
