2525.【翔にぃが求めるモノ…】 ページ25
［翔にぃside］
「はぁ〜…」
病院の屋上。
外の空気に触れると大きな溜め息が漏れる。
途切れることのない外来患者と、終わりのない
事務仕事の処理に疲れてしまう…
もっと和の病気のこと含め、調べ物をしたいのに
時間が取れない。
疲れと共に、焦りのようなものも感じていて…
久し振りに仕事に対してストレスを感じてる。
「ただいまー」
智「おかえり。夕食カレーだったけど、食べる？
それとも朝ご飯のメニューがいい？」
「カレーもらおっかな」
当直明けで帰ると、我が家はいつもレストラン
みたい。笑
ガッツリ食べたい時は夕食のメニューを選ぶ。
「丁度カレー食べたかったから嬉しいや」
智「んふふ…よかった」
「今日さ、連続当直になっちゃった」
智「そっか、大変だね。病院忙しいの？」
「ん〜、そうだね。新しいスタッフもいて
割とバタバタしてるかな」
智「そっか。無理しない程度にね」
「ん、ありがと…」
側から分析すると、自分の病院のことを『新しい
スタッフもいるから』『割とバタバタ』って
こうやって冷静に捉えられるのに。
いざ自分が組織の中に入ってしまうと、ね…
新しいスタッフは、慣れない仕事と多忙とで
体調を崩して休むこともあるから、どうしても
シフトが崩れるんだよね。
この時期は仕方ない。
俺だって新人の頃は同じだったし。
頭ではわかってるんだけど、ね…
智「ゆっくり休んでね」
「ん、ありがと…」
お腹がいっぱいになった俺は自室で睡眠。
ガチャッ…
玄関のドアの音がして、ふと目覚める。
時刻は14時過ぎ。
智にぃから『夕飯の買い物に行ってくるね』って
LINEがきた直後だ。
トイレを済ませて、もう一眠り…と思ったけど。
自然に足が進んだのは智にぃの部屋。
ちょっとだけ、お邪魔してもいいかな…
昔よく、智にぃのベッドに潜り込んでいたなって。
落ち着くんだよね、智にぃの匂い…
「…はぁ〜…」
悩みもストレスも悶々とし過ぎていて、上手く
相談出来ない気がする。
こんな状態で相談しても迷惑だしね。
ベッドの中で何度も深呼吸。
智にぃの匂いを感じて少し落ち着く。
なんか変な人みたいだよね。笑
ガチャッ…
1時間しないくらいで、智にぃが帰ってきた音が
してベッドから抜け出す。
リビングに降りて行ったら「おはよぉ」って
柔らかい笑顔。
この人、匂いだけじゃなくて笑顔も
柔らかいんだなって。笑
智にぃのベッドがあれば、俺もう少し
頑張れるかも…
そんな気がした。
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作者名：空
| 作成日時：2017年5月4日 13時
