2482.【2】 ページ32
［翔にぃside］
和は隠そうと
しているけれど…
明らかに頬が赤みを帯びていて、目もトロン…と
してる。
この日の為に、苦手な薬も、注射も頑張って
きたって思うと、堪らなくなるけど…
「家で応援してやろう。…な？」
そう決断しないわけにはいかない。
様子を見にきた智にぃにも「なんで？」「元気
なのに」って隠し通そうとしていた和だけど
俺に無理矢理に体温を計られて、抵抗をやめた。
その代わり今度は「俺は家にいるから。3人で
潤の応援に行ってきて欲しい」って。
和「…っ、…ねが、い。潤、がっかりするか、ら」
智「和の気持ちは分かるけど、潤だって和のこと
心配すると思うよ？」
自分の応援の為に、体調が悪い和を家に残して
きたなんて知ったら、潤だって心配で、試合
どころじゃないだろう。
智にぃは興奮気味の和に、優しく何度も伝えて
くれるけど…
和「…っ、んくっ、…ねが、い…」
智「かず…」
全く聞く耳を持たず、哀願してくるばかり。
結局、俺だけは残ることにして3人を送り出した。
その後も和は「翔にぃも行ってきて…」って
泣きながら訴えて、泣き疲れて眠りに落ちて。
和の気持ちは痛い程、分かる…
「ごめんな〜…」
まだまだ幼い顔付きで可愛い和。
その頭をそっと撫でて、部屋を出て、点滴を手に
戻ったら、発作を起こしていた…
［智にぃside］
家を出て数分後、翔からのLINEは『泣き疲れて
寝ちゃった。俺らの分まで応援してあげてね』
ってもので。
だけど1時間後のLINEでは『発作起こして病院に
いる。中発作だから、もう大丈夫だから、試合が
終わったら、みんなできてね』って。
心配になって、試合前に思わず電話をして
しまったけれど「今は薬で眠ってるし、容態も
安定しているから大丈夫」って。
だから、雅紀とも話をして、俺らは全力で
潤を応援した。
和が来たいと願ったのに、これなかった応援
だから…
和の分も…そんな気持ちで。
潤にはさすがに発作のことは黙っていた。
だけど和への思いは俺らと同じだから…
全力でボールを追い駆けて、チームのみんなと
頑張っていた。
潤「これで和にいい報告ができる！」
試合に勝って、次の試合の出場も決まって少し
テンション高めの潤を車へと乗せる。
病院までは、雅紀に運転してもらって「あのね、
潤」って話を切り出す。
黙って頷きながら聞いていた潤は、次第に目に
涙をいっぱい溜めて。
「どうして、こうなっちゃうの…」って
唇を噛んだ…
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作者名：空
| 作成日時：2017年2月18日 9時
