2466.【2】 ページ16
［潤side］
学校に行く前に
部屋を覗いたら、ベッドの上で苦しそうに
嘔吐している翔にぃ。
ゴミ箱を両手で抱え込んで…
それでも、不安そうな俺らを見つけたら
「ごめんな。大丈夫だから」って小さな笑顔を
向けてくれる。
和「無理、しないで…？」
「俺らにできることはするから…」
翔「ん、…りがとう」
とりあえず智にぃに知らせて、それからタオルと
水を持って部屋に戻る。
翔にぃは智にぃに背中をさすられて
グッタリしてる…
智「だいぶ酷いね…口濯ごっか？」
翔「…ん」
和がコップを渡してくれて口を濯いで。
俺はタオルで口元を軽く拭く。
翔にぃにしては珍しくされるがままだ。
今は何より心の休養が必要みたいだから…
翔「…いつと、連絡、つかなく、って…」
智「そっか、そっか。また後で連絡してみようね」
翔「…っ、んっ、…ん」
同僚のことが気になるみたい。
翔にぃのことだから、何も出来ない自分に
責任を感じてしまったんだろうけど。
智「何も出来ないなんて思わなくて、いいんだよ。
そんな風に大事に思ってくれてるってだけで
救われるものだから…」
翔「…っで、も…」
智「とりあえず今は考えるのやめておこう？
ね？大丈夫だから…」
翔「…ん」
智にぃの優しい言葉は俺の心の奥まで入ってきて
くれる。
［翔にぃside］
同僚が苦しんでいるのに、何も出来ない無力な
自分が許せなくて。
その苦しさを忘れたいのもあって、いつも以上に
仕事をした。
人手不足な状況だったから、誰も止める人は
いなかったから。
だから結局、こうして限界がくるまでやり過ぎて
しまうんだけどね…
仕事を休んで家で寝ていても、頭の片隅からは
消えない同僚の心配事。
電話をかけてみたけれど、彼と繋がることは
なくって…
「…っ、ん…気持…わる、い…」
酷い吐き気に襲われる。
今はみんなが傍にいてくれるのが有難い。
智にぃの優しい言葉が嬉しい。
智「辛いね…我慢しないで吐いちゃっていいから」
「…っ、んっ…苦し、い…」
吐き気で苦しい…
精神的にも苦しい…
弱音ばかりが零れてしまう情けない俺を
智にぃは抱き締めて背中をさすってくれながら
吐き気が落ち着くまで傍にいてくれた。
智「行っておいで、学校」
和潤「ん、行ってくるね。翔にぃお大事にね」
落ち着いた俺を見た双子は笑顔で部屋を出て
行った。
心配させたまま学校に行かせずに済んで
よかった…
どれもこれも智にぃのお陰だ…
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作者名：空
| 作成日時：2017年2月18日 9時
