2465.【翔にぃ自家中毒】 ページ15
［雅にぃside］
「翔のこと、ちょっと
気にして見てもらっていい？」って
智にぃに言われたのは3日くらい前。
それから少し気を付けて様子を見るように
していたら、すぐに変化に気が付けた。
疲れた顔をして帰ってくるし、食いしん坊の翔にぃ
なのに食欲がガタ落ち。
双子が眠った後に「飲もう？」って誘っても
「今日はいいや」って断られるし。
今日も、ソファーに座ってボーッとテレビを
眺めてる…
智「翔…？」
翔「…」
智にぃが呼び掛けても気が付かないくらい
ボーッと…
智「翔…？」
肩をトントンと叩かれて初めて「ん？」って
振り向いた。
智「仕事忙しい？何かあった？」
翔「…ん」
智「…ん？」
翔「忙しい…」
ボソッと答えて、すぐに自室に戻ってしまったから
それ以上詳しいことは聞けなくて。
でも数日後に自分から「飲もう？」って
言い出したから、智にぃと「話してくれたら
いいね」って。
仕事が忙しくなるのには、何か原因があるはず
だから。
一人で抱え込むのが苦しくなったなら、話して
くれたらって思って。
智「そっか。それは辛かったね…」
翔「…ん」
若干、誘導尋問みたいになってしまったけど
飲みながら全てを聞き出すことができた。
同僚が一人、精神的にやられてしまって
仕事を休んでいるんだって。
だから勤務も忙しくなるし…
翔「なにも力になれないのが、苦しいんだ…」
精神的なダメージの方が大きいのかもしれない。
話を聞くことくらいしか出来なくって、しかも
「双子には言わないで」って口止めもされたから
話せなくって。
そんな状態が何日か続いて、同僚の欠勤も続いて
いるみたいで、激務な上に精神的にも。
それがかなりストレスになったんだと思う。
酷い吐き気に襲われて、病院で治療を受けて
帰ってきた翔にぃ。
いわゆる『自家中毒』ってやつになってしまった
らしい。
翔にぃが帰宅後に、先輩から智にぃに連絡が
きて『今日から医者が2人派遣されてきたから。
激務からは解放された。だから、こっちのことは
気にしなくていい』って。
もう少し早く派遣されていれば、翔にぃが
こうして自家中毒になることもなかったかも
しれない。
正直そう思うけど…
翔「今はどこでも医者不足だから…」
「ん、そうだよね。ごめん…」
翔にぃのことをいつも大事にしてくれる病院を
悪く思ったりしたら駄目なんだって。
そう思った。
智「ちゃんと治してまた頑張ろうね」
翔「…ん」
今は休養を大切にしようね。
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作者名：空
| 作成日時：2017年2月18日 9時
