2451.【智にぃのトラウマ】 ページ1
［智にぃside］
今日は家から少し離れた
スーパーに買い物。
トイレットペーパーとかシャンプーとかの
日用品が安いから月に1度くらい使用してるんだ。
帰り道に信号機で停まる。
俺は直進で、右折の信号はまだ青。
何台目かが右折しようと動き出した時、対向車から
直進で車が突っ込んできた。
キキーッ…
ものすごいブレーキ音。
その後瞬時に…
ガシャーン…
車がぶつかる衝撃音。
頭の中に浮かんできたのは『怖い』『嫌だ』って
感情。
その後、どうやって家まで帰ってきたのかは
覚えていない。
交通整理をしてもらったのか、救急車が
来ていたのか、警察がきたのか…
なにも記憶には残っていなくて。
自室のベッドに潜り込んで、表し様のない恐怖に
押し潰されそうになっていた…
［和side］
「ただいま〜」
…
「…智にぃ？いないの…？」
今日は潤が友達とフットサルに出掛けたから、俺は
あらしの散歩でもしようと思って真っ直ぐ家に
帰ってきた。
家の中から返答がないのはちょっとおかしい。
でもそれ以前に、玄関のドアを開けてすぐ
いつもと違う点に気が付いたんだ…
智にぃの靴が乱雑に脱ぎっぱなし。
左右が遠く離れて転がってる。
普段の智にぃなら、絶対にこんな脱ぎ方はしない。
「…さとにぃ？」
リビングと庭をチラッと確認してから、駆け足で
智にぃの部屋へ。
ノックもそこそこに部屋のドアを開けたら
布団に潜った智にぃの姿。
「…具合悪いの？」
布団をペロリと捲ったら震える背中。
ドアに背を向けるようにしているから顔は
見えないけど、泣いているのが分かって…
「…どうしたの？何があったの…？」
智「…っ、んっ、ん…」
背中をさすりながら問い掛けても返答はない。
智「…っ、ん…、…っ、…っ…」
そのうちにどんどんと呼吸が乱れて、過呼吸に
陥入りそうになってしまって…
「…智にぃ？」
智「…っ、ん、…っ、…っ…」
「俺、帰ってきたよ？大丈夫だよ…」
ベッドに上がって、髪の毛をかき上げて
顔が見えるようにする。
「苦しいね…でも、大丈夫…治るからね…」
いつも智にぃが俺にしてくれるように、力が
入った体を少しずつほぐしながら、仰向けにして。
それから胸元をさすりながら呼吸法を伝えていく。
「もう一人じゃないからね…」
智「…っ、…っ…」
「もう怖くないからね…」
智にぃはなかなか過呼吸から抜け出せなくて
苦しそうにしていたけれど…
掴んでくれた右手にはしっかり力があった。
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作者名：空
| 作成日時：2017年2月18日 9時
