2398.【3】 ページ48
［智にぃside］
和「…っ、やっ…
やだ、…んせ、…や…」
「大丈夫だよ、和。目開けてごらん」
雅「かーず？智にぃと俺しかいないよ？」
恐い夢のせいでゆっくり眠ることもできない和。
泣き始めてしまったから、抱きしめて安心させる。
そんなところにやってきた翔は「潤が倒れた」って
一言呟いてガクッと膝をついた。
「…どういうこと？」
翔「分かんない…けど、すごい熱…」
「部屋？」
翔「いや、和室に寝かせた…。辛いくせにさ、
和のとこ行ってって泣くんだよ…」
翔はそこまで言うと背中を震わせて、静かに
泣き出して…
「俺が見てくるね…一緒に行く？」
背中をさすりながら問い掛ければ「行く…でも
待って…？」って慌てて涙を拭ってる。
雅紀に和の傍にいてもらえるように頼んで
和室へと向かう。
「じゅん…ごめんね」
眠っているかと思ってそっと触れたんだけど
起きていたみたいで「来なくていい」って
手を払われてしまった。
「ごめんね、気が付かなくて…」
潤「ん、ん…いいの、俺はいいの」
「よくないよ…こんなに熱あるじゃん…」
潤「放っておけば治るから、いい。和のところ
行ってあげて…」
潤の言葉を聞いていると、俺らを追いやろうと
しているのは怒りからではなくて、和を心配する
優しさからなのだと分かる。
でも…
「俺はいい」
「放っておけば治るから」
こんな言葉からは悲しさと寂しさが溢れてる。
いつだったかな…体調を崩した和に付きっ切りに
なり過ぎて、潤が癇癪を起こして大泣きしたことが
あった。
「じゅん、いい！！」って叫びながら。
その時の姿と重なる…
寂しさも不安も悲しさも…感じ方は、小さくても
大きくなっても同じ。
そう思うと、本当に潤に申し訳なくって…
「ごめん、潤。気付かなくてごめん」
潤「…っ、んくっ、…い、いいっ…」
何度振り払われても、俺はもう離さないよ。
潤の表面にある強がりな一面じゃなくって
甘えん坊で、さみしがり屋な裏の面に目を向ける。
「ごめん…ほんとに、ごめん…」
熱い体を無理矢理に抱き締めながら声を掛け
続けたら、そのうちにクタッと重くなって…
翔「…寝たみたい」
頬を伝う涙を翔が優しく拭いてくれた。
布団に寝かせて体温を計ると39℃超え。
辛い思いさせちゃったね…
和のことが心配で不安で押し潰されそうな思いに
加えて、俺らに見向きもしてもらえない寂しさ。
ここ数日の潤の悲しさを思うと堪らない…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2467人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空
| 作成日時：2016年10月26日 18時
