検索窓
今日:4 hit、昨日:24 hit、合計:1,666,452 hit

2397.【2】 ページ47

[潤side]

目の前には
弱り切った和。

眠る度に先生の夢を見るみたいで、泣きながら
目覚めたり、泣き叫んで目覚めたり。

そんな状態が続いているから、どうしても兄貴達は
付きっ切りになってしまう。

どんなに頑張って『和は大丈夫』って
自分に言い聞かせようとしても、俺一人の力じゃ
不安な気持ちは消えてはくれなくて…

兄貴達と話をして気を紛らわせたい。

不安な気持ちをぶつけたい。

そう思うのに、そんな時間も余裕もなくって…

もしかしたら、このまま悪化して入院になって。

そしたら和が今度こそ壊れてしまうんじゃないか。

そんな風に思ってしまう自分がいるんだ…

和「…ず、お水、飲みた、い…」

翔「もう少し待ってな」

和「や…、喉、渇いた…」

コップを掴もうとして伸ばされる力ない手…

何度戻しても諦めないから、智にぃが空のコップを
握らせてあげて。

和「…っ、ん、ん…」

コップのフチを咥えて、涙を流しながら
眠りに落ちた和は可哀想で仕方なくて…

見ているのが辛くって、一人部屋を出る。

自室に戻ったら涙が止まらなくなって。

枕に顔を押し付けて、思いっきり叫びながら
どうにもならない不安と怒りに潰されそうに
なった…


[翔にぃside]

和があんな状況だから、夕食時に4人が揃うことは
もちろんない。

「和のこと心配だからパパッと食べちゃおう」

潤「ん、そうだね」

こうして潤と顔を合わせても、頭の中は和のこと
ばっかり。

次の薬はどうしよう…

水分補給はあと少しなら大丈夫だな…

目の前の潤の顔色が悪いことに、気が付いてやる
ことすら出来なかったんだ。

潤「ごちそうさまでした…」

気が付けば食事は終わっていて。

キッチンに向かって歩き出した潤の後ろ姿を見て
何にも話を聞いてやらなかったな…って反省。

「一緒に風呂でも入るか?」

罪滅ぼしのつもりで一声掛けたんだけど…

バタン…

潤はそれに応えることなく意識を失って倒れた。

「…っ、潤!!」

駆け寄って触れた時、体の熱さに驚く…

こんな状態で、俺の目の前に座っていたのに
何ひとつ気が付いてやらなかった自分。

「ごめんな、潤」

そっと抱き寄せる。

潤「…ん、…ょ、にぃ…」

「ごめん、潤」

潤「…っ、…っ…」

謝ることしかできない俺に、潤は微かに首を
振って、口角を上げてくれた。

辛いくせに無理をしてしまう潤のこと、どうして
いつも守ってやれないんだろう…

「いつまでも未熟で…ほんとごめん…」

2398.【3】→←2396.【末っ子の心の変化】



目次へ作品を作る
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (669 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
2467人がお気に入り
設定タグ: , 家族 , 病系
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名: | 作成日時:2016年10月26日 18時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。