2382.【3】 ページ32
［翔にぃside］
智にぃは
「放っておいて」って言うけれど…
智「…っ、んっ、けほっ…」
咳と呼吸の苦しさで眠れていない姿を見たら
放ってはおけない。
とは言っても、これと言って治療があるわけでは
ないから俺が傍にいても出来ることは
ないんだけどね。
智「…っ、いい、よ、大丈夫だから…」
苦しそうに咳を繰り返しているから、背中を
さすろうとしたのに、ペシッと払われた。
ここまできたら意地だろう。笑
「いいから…笑。ちっとも大変じゃないよ？」
智「それでも、平気…」
こうして傍にいて背中をさするくらい何てこと
ないんだから。
それを伝えてみたけれどプイッとされた。
智「いいの…部屋で、寝てきて…」
そっぽを向いてボソボソと。
でも、ここでまた咳の波がきてしまって。
背中を丸めて苦しそうに咳込み始めたから
ゆっくり大きく背中をさする。
咳込み過ぎて、呼吸すらままならなくて
ちょっと心配…
智「…もう、やだ…」
やっと落ち着いたかと思ったらボソッと一言。
顔の上に腕をのせてしまったから見えないけど
頬を涙が伝って零れた…
ここ数日、こんな状態だから辛いのは分かる。
胸元をさすりながら落ち着くのを待つ。
［智にぃside］
翔は毎晩きてくれて、傍にいてくれるけど…
夜中なのに申し訳なくて、素直になれない。
でも、連日の寝不足で体力も気持ちも、自分が
思っているより落ちていたみたい…
涙が零れてきてしまった。
しばらくは黙って胸のあたりをさすって
くれていた翔。
そのうちに静かにゆっくり話し出して…
翔「苦しいね…でもね、よくなるから大丈夫」
優しいその声に気持ちがスーッとラクになるのを
感じる。
翔が「よくなる」って言うなら、間違いない
もんね。笑
さすってもらえる感覚と声に気持ちを集中させて
いたら、いつの間にか眠れていて…
翔の存在は大きいみたい。
翌日…
「大丈夫だから」と言いつつも、
「今日もきてくれるかな？」って期待している
自分がいることに気が付いた。笑
翔「今日も来ましたよ〜…笑」
見抜かれているようでドキッとする。
翔「だいぶラクになってきたんじゃない？」
「…ん」
聴診してもらいながら、翔から目を逸らして
逃げることで精一杯。
だから答え方もどうしても素直にはならなくて。
翔「よかったね」
「…ん」
翔「智にぃってさ？」
「…」
翔「顔に出やすいくせに、ほんと素直じゃ
ないよね。笑」
言われてしまった…笑
END
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作者名：空
| 作成日時：2016年10月26日 18時
