2374.【6】 ページ24
［雅にぃside］
泣きたくなんて
なかったのに…
悔しさと怒りと…もうよく分かんない感情。
双子にこれ以上は返す言葉もなくて、下を
向いたら、背中に当てられた温かい手。
智「雅紀の気持ち、分かってるから…
ありがとうね…いつも、助かってるよ」
頭を撫でてくれる優しい手。
翔「ありがとな、雅紀…」
「…っ、んっ、ん…」
悔しいんだ…体調不良に気が付けなかったこと。
悲しいんだ…双子に嘘をつかれたこと。
智にぃと翔にぃは横のソファーに双子を
座らせてから、俺の両隣に座ってくれた。
それからギュッと抱き締めてくれる。
悔しさも悲しみも怒りも…すべてがスーッと
抜けていくような感覚。
「…っ、んくっ…、…めんな、さ、い…」
智「んーん。雅紀は謝らなくていいの」
翔「お前に責任はない。大丈夫…」
2人からの言葉で気持ちが満たされていくのが
分かる。
そんな俺を見ていたからなのか、双子が「本当に
ごめんなさい」「雅にぃのこと傷付けて
最低なことした」って謝ってきて。
「…ん、もういいよ」
モヤモヤを全て吹き飛ばした後だったから
すんなりと許すことができた。
自分のことを単純だな…と思いつつ、目を真っ赤に
して謝る双子を見たら、何とも言えない
気持ちになった。
［和side］
正直、雅にぃがこんなに怒って許してくれないとは
思っていなかった。
でも、俺らに向かって怒鳴りながらポロポロと
泣き始めた雅にぃを見て、こんなにも怒っている
理由に気が付いたんだ。
雅にぃの怒りの奥にある、悲しさと悔しさに…
智にぃと翔にぃには「雅紀を本気で怒らせたら
大変だからやめとけ。笑」って冗談混じりに忠告
されたことがあったけど。
今回はそれを体験して…改めてほんとに二度と
やめておこうって思った。
色んな意味で熱い人だし、容赦ないから。笑
だけどそれ以上にね、もう雅にぃを傷付けたく
ないっていうのが本当の気持ち。
もう二度と、あんなに悲しい顔させたくない。
「…ごめんなさい」
潤「ごめんなさい…」
雅「ん、もういいって。俺もごめんね。
顔も見たくないなんて言い過ぎた。ごめん…」
「…っ、もうしない、から…」
潤「俺も…」
雅にぃは自分の目の涙を服の袖でギューッと
拭ってから、俺らのことをガシッと抱き締めて
くれた。
雅「心配だから…。体だけは大事にしてね…」
雅にぃの優しさが痛いほど伝わってきて
言葉が見つからない。
黙ってコクコクと頷くのが、俺も潤も
精一杯だった。
END
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作者名：空
| 作成日時：2016年10月26日 18時
