2363.【5】 ページ13
［智にぃside］
潤はあのまま結局、
翔の腕の中で眠った。
少しは話せたから安心したのと、腕の中が
安心で心地よかったんだろうね。
翌日は「学校行きたい」って言うから、和と共に
普通に登校させた。
表情も明るくて調子良さそうだったのに、帰宅後に
和が検温を始めたら「…ごめん」って
何度かブツブツ。
検温はいつものことなんだけどね。
今の潤にとっては『和は病気』ってことを
再認識させる一つの要因なんだろう…
「そんなこと言わないで座りなよ」って
促してみたけど、首元をギューッと抓って
自虐行為を始めてしまった。
「かず？大丈夫だから。心配しないで待っててね」
和「…ん」
体温計を持ったまま呆然と立ち尽くしている和の
頭を撫でてから、ひとまず潤をソファーへと
座らせる。
「じゅーん…？手、ギュッてしようね」
まずは首を抓っていない左手をギュッと
俺の手で包む。
「そっちもギュッてしよっか…？」
潤「…」
「ん…？する？」
潤「…ん」
首を抓っていた右手もゆっくりと手の中へ。
俺はゆっくりと「潤が元気でいることで
和が悲しむなんてことあるのかな？」って
ことを中心に潤と話を始めた。
［潤side］
思い込みでいっぱいになった俺の心に
智にぃの言葉が優しく入り込んでくれて…
冷静に落ち着いて考えることができると
深い思い込みの中にはまっていたことが分かる。
両手を握ってもらったままギュッと抱き付いた。
全身で感じる智にぃの温もり…
その夜は雅にぃも「潤！風呂入るぞ！」って
誘ってくれて、色んなこと話した。
雅にぃは直接的には、俺が苦しんでいる話題には
触れなかったけど、そのことに繋がるような
ことを話しながら「大丈夫」って思いを
伝えてくれて。
本当に心が綺麗だなって。
風呂から上がった頃には、温かで穏やかな
気持ちに包まれていた。
でも、就寝時間に近付くにつれて少しの不安が
広がり始める。
そしたら、翔にぃが部屋にきてくれたんだ。
「ちょっと話さない？」って言われて
見つめられると、ちょっとドキッと。笑
翔にぃは、とってもストレートに話をして。
いつでも直球。
普段はあんまり表に出さないような、
優しい笑顔と声が大好き。笑
真面目で誠実で、優しい。
「いつでも頼れ」って、その言葉。
それぞれの兄貴たちの、それぞれの優しさ。
兄貴たちはなにがあっても、俺の味方で
いてくれるって安心感は、何にも負けないんだ。
忘れずにいようと思う。
END
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作者名：空
| 作成日時：2016年10月26日 18時
