2110.【4】 ページ10
［雅にぃside］
仕事を早めに切り上げて
グランドで潤を拾って病院へ。
元気な姿を見れるまでは不安が尽きなかったけど…
和「んふふ…こっち」
ベッドに座って小さく笑ってる和を見て
ホッとした。
「ごめんね、かず。ごめん…」
我慢できなくて、勢いよくベッドの近くで
謝ってしまう。
和はビックリしたのか、智にぃと翔にぃの顔を
不安気に見上げる…
智「…ん？だいじょうぶ…」
翔「かずは？言いたいこと、ある…？」
2人の兄の存在と言葉に安心したのか、
和はコクッと頷いて「雅にぃ、ごめんなさい」って
目を潤ませながら伝えてきた。
ギュッと抱き締めて「ごめんね」って頭を撫でる。
やっぱり、和が辛い時は傍にいてあげたいって
強く思う…
和「きゃはっ！そこジャンプしてよ〜」
潤「タイミングわかんねーよ…笑」
いつもの空気に戻った病室。
居心地がいい。
和は点滴が終われば帰れると思っているのか
さっきから時計と点滴を気にしてるけど…
智にぃが夕飯を運んできたことで勘付いた。
「食べない！入院しない！」って。笑
翔「一晩だけ。な？心配だから…」
和「むぅ…」
プクッと膨れた和と、眉毛を下げて困った顔で
優しく笑う翔にぃ。
やっぱり、こうでなくっちゃね。
智「とりあえず、お腹も空いたし夕飯食べよう？
何か適当に買ってくるから」
和「メロンパン…」
智「ふふ。了解。明日の朝ごはんね？」
和「むぅ…ばかっ…」
自ら朝ごはんをリクエストしてしまったから
入院を受け入れたということで。笑
もともと決まってたけどさ、なんか可愛くて
笑っちゃう。
和はそこまで食欲があるわけじゃなかったけど
翔先生がOKを出せる量は食べてくれた。
食後のデザートはリンゴだったから大喜び。
可愛い顔して齧ってる姿に癒される。笑
「シャリ」って良い音出しながらね。
好調だった和だけど、面会が終わりそうになったら
不安定に…
発作の後は不安になって分離不安の症状が
出ることも多いからね。
和「みんなが、居るままが、いい…」
智「ん、居るよ。大丈夫…」
和「一人、やだ…」
翔「一人にはしないから大丈夫。
みんないるうちに寝ちゃおっか…」
智にぃがベッドに寝転んで胸元をさする。
俺らも傍で体に触れる。
一晩だけだから、気を紛らわせて薬を入れて
しまえば何とか乗り越えられるからね。
「ふふ…寝たね」
安心しきった寝顔。
俺らは秘かに約束した…
『喧嘩はその日のうちに終わらせようね』って。笑
END
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作者名：空
| 作成日時：2016年2月10日 18時
