2144.【5】 ページ44
［智にぃside］
『んふふ…
ほんとに智は、いつまでも寝るわね〜』
あ…母ちゃんの声。
久しぶりに聞いた…
休日、昼過ぎまで寝て…その後リビングのソファー
で再び眠る俺を見て、母ちゃんはよく
こうやって笑ってたんだ。
俺がいくら寝ても、リビングでグデッとしてても
母ちゃんは「んふふ…」って笑ってた。
「寝すぎ」って叱られたり「しゃんとしなさい」
って言われたことってなかったな…
そんなことを思い出しながら、また目を閉じようと
したら「翔と雅紀が待ちくたびれてるわよ？」って
肩を叩かれた。
「ん…寝かせて…」
母「んふふ…寝るのは自由だけど。笑
そろそろ和と潤も『遊んで〜』って騒ぎ出すと
思うけど」
母ちゃんが優しく笑って指差した方向には
4人の姿…
眠るよりも『会いたい』って思いが大きくなるのが
自分でも分かった。
「ん…いくか」
そこからゆっくり歩き出して…そしたら
長い長い夢から目覚めたんだろう。
『智にぃ！！』って、すごい勢いで4人に体に
乗っかられて、ずっと意識不明だったんだと…
知った。
「…ごめん、ね？」
兄弟を守るべき立場の自分が、こんなにみんなを
泣かせていたなんて…
それに気付かせてくれた母ちゃんに感謝
しなくちゃ。
翔「…っ、ん、…よかっ、た」
「ん、ごめん」
雅「…んっ、んくっ…心配、したんだから、ね？」
「ん、ごめんね…」
和「んっ、…っ、…痛いとこ、ない？」
「ん、ありがと…だいじょ、うぶ」
潤「…っ、んくっ…ずっ、と待って、た…」
「ん、ありがと…ごめんね」
みんなの顔見たら安心した…
「…っ、んっ、…っん、ごめ、ん…」
どれほど心配してくれていたかが、痛いほど
分かって涙が零れる…
でも『よかった…』って笑う4人の心が
一つなのが伝わってきて嬉しい気持が勝る。
和「…どこも、いかな、いで…」
「ん、ごめん。どこもいかない。約束…」
潤「…っ、ん、ん…」
「ん、潤もごめん。心配掛けてごめん…」
両側から寄ってきた双子を抱き締めたら、
久しぶりに声を上げて泣き始めた。
分かってるよ、その気持ち。
誰かを失うことが恐くて不安で堪らなくて…
心をギューッと掴まれているみたいに苦しくなって
泣きたくなるんだよね。
だからこそちゃんと伝えたい。
『俺はどこにも行かないから』って気持ちを。
「ありがと…、みんなの傍にいたいから
どこにも、いかないよ。約束するから…ね？」
ずっと、5人でいよう。
5人で笑っていよう。
END
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作者名：空
| 作成日時：2016年2月10日 18時
