2142.【3】 ページ42
［雅にぃside］
翔にぃが
イライラする気持ちも分かる。
俺も無力感でいっぱいだもん。
和は情緒不安定になってしまったし、潤は食欲が
なくなって「お腹空かない」って食べることを
拒むように…
「お腹空いてなくてもさ、とにかく少し食べなきゃ
智にぃのとこ、戻れないよ？」
潤「いい…」
「戻らなくていいって意味？」
潤「ちが…、食べなくていい。平気」
和は目に涙を溜めながらメロンパンを少しずつ
食べていて、翔にぃは蕎麦をすすってる。
会話なんてなくて重い空気が流れる…
潤「俺、先に戻る…」
「…っ！待って…倒れるって…」
まともな物を口にしていない状態で丸一日。
腕を掴んで慌てて止めたけど「離せ」って
振り払われて。
そんな時に部屋に響いたのは「待て」っていう
翔にぃの低い声。
翔「いい加減にしろ」
潤「…」
翔「食え」
潤「…」
真っ黒な瞳に涙を溜めた潤が、周りを見て
みんなのことをキッと睨む。
翔「座れ」
ドアノブを掴んでいた手を離して、床にペタン…と
座り込んだ潤。
なんだかんだ言ったって、翔にぃにはまだ
敵わない。
強い言葉で潤を制したけれど、翔にぃだって
この切羽詰まった状態で兄弟を守る為に必死。
言葉や態度、口調は強いけれど『潤を守る為』って
思いは、俺にはもちろん和にも伝わって
いるから。
それに、そこに優しさがあることも知ってるしね。
智にぃが目覚めた時に、俺ら4人がバラバラに
なってしまっていたら一番ショックを受けるのは
智にぃだもんね…
翔「ごめん、雅紀。和のこと連れて、先に智にぃの
ところ戻ってもらっていい？」
「ん、分かった。かず、いこっか」
和「…ん」
残っていたパンをパクパクっと口に詰め込んだ和は
涙をゴシゴシ拭いて俺の元へ。
「じゅん？テーブルの方いっておいで？」
潤「…」
ドアに背をつけて座っているから移動して
もらおうと思ったんだけど…
潤「…っ、やだ…」
溜まっていた涙がポロッと零れたのを
きっかけに「嫌だ」「もう嫌だ」「全部やだ」って
首を振って大泣きを始めた。
翔「潤、こっちおいで」
潤「…っ、んっ、やだ…」
もう何を言っても駄目。
結局、動こうとしない潤の腕を翔にぃが引いて
俺と和は部屋から出た。
和「…っ、…ん、ちょっと、待って…」
「泣いてたら智にぃ心配するから」って言うから…
トイレに立ち寄って涙を拭いて、顔を洗って。
「よし、いけるかな」
鏡に向かって2人で笑顔を作ってみる。
まだ笑えてる…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1957人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：空
| 作成日時：2016年2月10日 18時
