2104.【4】 ページ4
［翔にぃside］
吸入しながら
寝ちゃうって雅紀らしい。笑
唾液だけとはいえ、吸引中の音って
意外とうるさくて不快だから
その音を聞きながら眠るって、なかなかだ。
それ程に体力が落ちてるってことでも
あるんだけどね…
俺と智にぃも、どんどん心配になってきちゃって。
さすがに「説教してやる」なんて言ってられる
状況でもなくなってきた。
水分も栄養も点滴で摂れるとしても、どうしても
それだけじゃ体力をつけるのは難しい。
でも、極限まで体力が低下した状態だから
気力も無くなっていく一方で…
いくら説得しても、お粥どころか水分すら
飲み込もうとはしてくれない。
結局「1回だけ頑張ればラクになるから」って
理由で、鼻から胃までチューブ通して
流動食を始めることに。
智「ほんとに重症化しちゃったね…」
「そうだね…食べれないってのが大きかったね…」
まさかね、ここまでの処置が必要になるとは
思ってもいなかったから…
胃管チューブのこと、双子には伝えずに
学校に送り出した。
午前中のうちに処置が済めば、双子が面会に来る
夕方くらいには違和感に少し慣れて雅紀にも
余裕が出てくるはずだから。
その頃に会えれば、双子も無駄に心配せずに
済むからね。
心配させたまま学校行かせるのはちょっと…って
思いもあったし。
［智にぃside］
翔「まさき？始めるよ？」
雅「…ん」
翔「大丈夫？辛いのちょっとだけだからな…」
「俺が処置するのでいい？」って確認したら
雅紀が頷いたから、翔がやってくれる。
その方が俺としても安心だしね。
ベッドの背凭れを少し上げて、体を少し
起こさせる。
雅紀は比較的、翔の診察になっても緊張しない
方だけど、鼻に麻酔のジェルを入れられたら
さすがに不安そう。
チューブにもジェルを塗って…
翔「少し上向きな？顎、上げるよ…？」
雅「…っ、ん…」
いよいよってなったら、ギューッと力が入る。
翔「まさ、大丈夫だから少し力抜いて？」
雅「ん…」
翔「その方がラクだから…」
肩の辺りを翔にさすってもらって
俺は不安げに彷徨った右手を握る。
翔「ちょっとだけ、我慢な〜…」
雅「…っ、ん〜…」
翔「…っ、ちょっと…笑」
入れ始めて早々に、雅紀は違和感に堪えられず
首を大きく振りながら、ずり下がってきた。笑
「まだ元気残ってたね」
翔「ね…笑。ある意味、安心したわ」
グッタリだったから、こんなに抵抗してくると
思わなくて。
油断してた。笑
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作者名：空
| 作成日時：2016年2月10日 18時
