2116.【6】 ページ16
［翔にぃside］
和「じゅーん？
一緒にパン食べよう？」
眩暈で辛い時でも、潤は和の誘いを断らない。
潤のことを心配し過ぎて、和の心も悲鳴を
上げるんじゃないか…って俺らは不安だったけど。
「潤の為に俺ができること見つけたよ？」って
和の笑顔を見て安心した。
和なりに一生懸命考えて「俺が元気でいること！」
って結論に達したみたい。
その通りだと思う…
3人で感心しちゃったもん「強く逞しくなって、
やっぱりお兄ちゃんだね。笑」って。
一度は椅子に座ってパンを持った潤だけど
辛そうな表情。
すぐに和が気が付いて動いてくれる。
和「食べれる？ちょっと休んでからにする？」
潤「休む…」
和「クッション持ってくるね」
テーブルに顔を伏せてしまった潤。
和は優しく頭を持ち上げてクッションを挟んで
あげて背中をさすってる。
任せておいて大丈夫だね…
しばらくしたら眩暈と頭痛は落ち着いたみたいで
和と喋りながらパンを食べ始めた。
翔「吐き気とか大丈夫？」
潤「ん、へいき」
翔が脈を診てくれて、和も安心した顔になって
潤も笑って。
お風呂は和が「誰とにする？」って一歩リード
してくれて潤は迷って迷って…「智にぃ」って
俺を選んでくれた。
潤「さとにぃ…流してくれ、る？」
「ふふ。もちろん」
震えだけじゃなくて、手の痺れも感じている
みたい。
手伝ってあげるとホッとした顔になる。
それが切なかったりするんだけどね…
「手、貸してごらん？」
潤「えっ…」
「いいから…」
湯船に並んで浸かって、潤の手をとる。
翔がマッサージ教えてくれたから、少しでも
ラクになるなら…と思って。
「…どう？」
潤「…ん、気持ちいい…」
俺の肩に頭をのせてリラックスしてる様子の潤。
目が潤みだしているけど気にせず続ける。
潤「…っ、…ん、…っん、…ん…」
しばらくしたら嗚咽が聞こえてきた…
「…ん、いいよ。泣きな。ここなら誰にも
気が付かれないから…」
潤「…っ、んっ…、…っ、ん…」
声を出さないように堪えてるから辛そうだけど
泣けるだけいいかと思って…
「だいじょうぶ…」
抱えてる不安とストレスは、潤が『和を
守りたい』『和に心配掛けたくない』って思いより
ずっと、ずっと大きくて重い。
だから、気持ちを支えきれなくて潰れてしまう…
気持ちが勝っても、体が負けてしまう。
でもね、忘れないで欲しい。
『潤の為に俺が元気でいるよ』って和の思い…
思い合ってるってことを…
END
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作者名：空
| 作成日時：2016年2月10日 18時
