2114.【4】 ページ14
［潤side］
病院には行かない。
これ以上、和に心配を掛けるは嫌だから…
兄貴達と2人きりの空間になると説得されて
しまうから、夕飯の後は極力避けて過ごした。
風呂も智にぃからも翔にぃからも誘われたけど
「一人がいい」って断って。
早々にベッドに潜り込んだんだ。
兄貴達は、俺が避けてることに気が付きながらも
何も言ってはこなかった。
でも、逃げられないのは俺も分かってる
んだけどね。
コンコン…
ほら、やっぱりだ…
ドアの方を向いて、薄っすら目を開けて確認。
ガチャッとドアが開いて、入ってきたのは翔にぃ。
寝たフリしたいけど、敵わないだろうな…笑
そう思いながらもキツく目を閉じる。
翔「頭痛、どう…？」
「…」
翔「おーい…笑」
「…」
翔「そういうことすんと、診察道具
持ってくんぞ？笑」
はい、やっぱり負けた〜…
診察なんかされたら堪んない！
パチッと目を開けて睨む。
翔「兄ちゃんに向かって、そんな怖い顔しないの」
頭をガシガシっとされて、それから真剣な顔に
なって「頭、痛いんだろ？」って。
「いい…」
翔「なにが。笑」
説得される前に先手を取る。
「病院。行かなくていい」
翔「なんで」
「…」
翔「じゅん？」
「行きたくない」って叫んで、肩の辺りを
パシッと叩いたけど翔にぃの顔は変わらない。
怒っているわけではなくて…どちらかというと
悲しそうな表情。
翔「なぁ、じゅん？」
「いやだっ…」
カッコいい翔にぃに憧れて、大人っぽくなりたい
って思うのに…返答はガキ以外の何者でもない。
それでも、どうにも抑えられなくて「いやだ」って
連呼しながら、翔にぃをパシパシ叩いた。
「…っ、んっ、ん…、んくっ…」
涙が零れてきたけど、構わず叩く…
翔「じゅーん…」
何度目かで腕をギュッと掴まれて、そのまま
抱き締められた。
落ち着く匂い…
「…っ、んっ、んくっ…、いや、だ…」
翔「わかった。分かったから…」
尚も主張を続ける俺に、根負けしたのか。
それとも…
興奮している俺には、何を言っても
無駄だと判断したのか。
まぁ、後者だろうね…
その証拠に、俺が落ち着くまではずっと背中を
さすっててくれて…
翔「…潤？病院行くことで一番の心配は和？」
「…」
落ち着いたらまた説得を始めたから。笑
根負けしたのは俺。
だって、こんなに親身になって話を聞いて
くれようとしてるんだもん。
応えないなんて失礼だなって…
「かずに、心配掛けたく、ない…」
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作者名：空
| 作成日時：2016年2月10日 18時
