2032.【記憶を失った末っ子】 ページ32
［雅にぃside］
※解離性健忘のアイディアを元に
書かせて頂きます。
潤「ねぇ、和はどこいったの？？」
始めは冗談だと思った。
何をふざけた事を言っているのかと…
だって和が、智にぃと翔にぃに連れられて
病院に行ったのは、ほんの数十分前。
しかも潤は散々「俺も行きたい」って喚いて、
翔にぃに「インフルエンザ流行ってるからやめろ」
って止められてた。
潤「ねぇ…智にぃ達も一緒？？
なんで朝からいねーんだよ…」
「…」
不貞腐れたような潤の表情を見て、心臓がドクリ…
と音を立てる。
どういうこと…？
そんな思いを抱えながらも、今はこの空間で
何とか過ごしていくしかない…
とりあえず「和が体調崩して熱があったから
3人で病院に行ったよ」って伝えてみたけれど。
潤「ふぅーん…」
潤の返答は至ってシンプルなもので、その後は
和のことを心配する素振りも見せず
俺と一緒にゲームを楽しんで過ごした。
いつもの潤なら、和のあの姿を見てしまったら
もっと心配するばず…
病院に行くのを嫌がって「嫌だ」「潤…」って
かなり泣いていたから。
『入院』も十分に考えられる状況で
家に残された潤がここまで落ち着けているのは
稀なこと…
潤の身に何か起きたんじゃないか…って不安。
それと共に取り乱さないように落ち着こう…って
潤なりの気遣いなんじゃないか…
そう思おうとしている自分もいる。
［翔にぃside］
病院を出ようとした時『潤の様子がおかしい』って
何ともシンプルな連絡が雅紀から。
もう少し詳しく教えてはもらえないものかね。笑
「智にぃ…？これ…」
家を出る時の潤の不安そうな表情を思い出したら
心配になってきちゃって智にぃに画面を見せる。
智「…ん、なんだろうねぇ…」
泣き疲れて脱力した和の頭を撫でながら
智にぃが首を傾げる。
また一人で抱え込んで潰れてなきゃいいけど…
そんなことを考えながら家へと向かう。
『帰ってきたら様子みてもらっていい？
やっぱり、おかしい…』
家に着く直前でもう一度、雅紀から連絡が…
パッと画面を智にぃに見せて、慌てて家へと
駆け込む。
潤「あっ！帰ってきた〜」
あれ…いつも通り？
不安になって泣いているのかと…
何らかの変化が見られると思っていたから
拍子抜け。
でも、一緒に過ごしていると『潤の様子が
おかしい』の意味が分かってきた…
雅紀が『おかしい』と表現した意味が、今なら
すごく良く分かる。
うん…
この違和感を説明するのは難しい…
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作者名：空
| 作成日時：2015年10月17日 13時
