5人で生きてゆく…part41 (ページ30)

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2030.【15】手術ページ30

［潤side］

手術当日の朝、
和は珍しくご飯を食べたがった。

多分、昨日の朝に智にぃ手作りのミネストローネを
食べて美味しかったから…

高熱が出てから、フルーツの缶詰めくらいしか
まともに食べられなかった和。

「前日くらいパワーのつく、温かいものを
食べさせてやりたい」って、翔にぃが
智にぃにお願いしたみたい。

でもね…手術に備えて絶食が始まってるから
和の願いは叶わなかった…

翔にぃは「余計なことした…」って少し
落ち込んだけど…

智「久しぶりに幸せそうな顔見れたよ？」

翔「…ん、そうだね…」

智にぃの言葉で後悔せずに済んだみたい。

雅「かーずちゃん…？そんなに泣かないの。
また沢山食べれるから…ね？」

和「…っ、んっ…今、がいい…」

変わらぬ高熱で苦しくて、駄々を捏ねる
くらいじゃないと逆に辛いのかもしれない。

智「よしよし…また作ってやるから…」

智にぃが抱き締めてあげて背中をさする。

昨日もほとんど眠れていないのに、興奮してるから
眠りそうにはないね…

翔「泣いてるとこ悪いけど…いい？」

智「ん、おっけい。雅紀さ、こっちきて
手抑えてもらっていい？」

夕方の手術に向けての浣腸。

下剤は昨日から飲んでるから、多分これで
仕上げのはず。

俺は頭側に回って、和に声を掛けながら
涙を拭いてやることにした。

寝転んで抱き締めたまま、足を抱え込ませた
智にぃ。

雅にぃは、固定から逃れて自由になりそうな
腕を抑えてくれる。

和「…っ、…んっ、…ないっ、…やー…」

智「ん…嫌だね」

翔「ごめんな、かず。これだけ頑張ろ…」

和「…っ、や…、んっ…」

こんな状態じゃ、説得して進めることは
出来ないからね…

興奮して呼吸が乱れ過ぎる前に、終わらせて
あげるしかない。

翔「ちょっと、ごめんな？」

和「…っ、んー…」

簡易着を捲られれば泣き方が激しくなって…

翔「はい…ちょっと我慢」

和「…っ…」

管を当てられれば、ビクッとして体を強張らせる…

翔「かず…？力抜いてごらん？」

智「がんばれ…かず」

「がんばれ…」

大嫌いな感覚に顔を歪ませて「いや」って
訴えているけれど、どうにもならない…

和「…っ、んっ…、…や…」

翔「ごめんな…おしまい」

腹痛で苦しむ前にトイレにいけるみたい。

でも、1人ではまともに立つことも出来ないから
智にぃと翔にぃが支えてトイレまで。

雅にぃと2人になった病室で「いよいよだね…」って
頷き合った。