2024.【9】 ページ24
［雅にぃside］
検査の結果が
あまり良くなかったみたい。
「このまま抗がん剤治療を続けても…」って
翔にぃの言葉で、すべて分かってしまう。
最初から「手術になる可能性は高い」って
説明を受けていたしね…
それでも、そんなにすぐには受け入れられない。
和は「薬、頑張ったのに…」って泣いて
手術を拒否。
確かに、あれだけの副作用に苦しめられたのに
『効果なし』では、あんまりだよね…
和「…っ、…えに、…えりた、い」
翔「ん、帰りたいよな」
和「…っ、んっ…、いっぱ…、がんばった、…に」
翔「ん、和は頑張ったもんな…」
和「…っ、んっ…、かみ、さま、…じわる…」
翔「ん、俺もそう思う…」
翔にぃはベッドに座って和と向き合いながら
気持ちを一つひとつ受けとめていく。
和「…っ、こんなの、いらないっ…」
翔「ん…」
テーブルに広げられた資料やエコー写真を
払い落としても叱ることなく、ゆっくりと
気持ちに寄り添ってあげている。
その姿を、俺らはソファーに座って黙って
見ていた。
翔にぃが、俺らに検査結果の説明と手術のことを
話終わってから言った言葉を思い出す…
『和は、自分の体が良くなっていないことに
気が付いてる。手術になるかも…って、
敏感に感じて、すでに覚悟を決めようとしてる』
言葉の意味、その時はすぐには分からなかった
けど…
次第に落ち着いてきた和の「次は、何を
頑張ればいいの…？」って呟きを聞いて
気が付いた。
和は俺なんかよりずっと早く、手術に対する覚悟を
決めなきゃいけないんだって察していたってこと…
手術になる可能性の方が高いって分かっていながら
副作用に耐えていたってこと…
翔「ごめんな、かず…手術、頑張ろう？」
和「…っ、…んっ、…んくっ…」
翔「元気になれるから…」
和「…っ、んっ、ん…」
翔にぃに向かって両手を伸ばした和は
しっかりと抱き締めてもらって、頷く。
潤「…っ、かずっ…」
その姿を見た潤が堪らず飛び付いた。
翔「みんなで応援するもんな？」
潤「…っ、んっ…る。する…」
智にぃと俺も、ベッドの周りに集まって…
和が寝付くまでみんなでおしゃべりを楽しんだ。
不安もあって、なかなか眠っては
くれなかったから、翔にぃが点滴から薬を
追加したけど…
「ありがと…がんばる」って言いながら
安心した顔でゆっくり眠りに堕ちてくれた。
『決断』するのは悲しいことじゃないもんね。
良くなるための一歩。
俺は、そう信じてるから…
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作者名：空
| 作成日時：2015年10月17日 13時
