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2022.【7】 ページ22

[先輩side]

翔「だいじょーぶ…
ここにいるから」

和「…っ、んっ…」

俺がちょっと無理矢理に進め過ぎて…笑
呼吸が乱れた和くんだけど、翔くんのお陰で
落ち着いてきた。

翔「かーず…だいじょーぶ」

いつもは俺の前では恥ずかしがって出さない様な
優しい声で何度も声を掛ける翔くん。

そんな兄ちゃんに縋るようにしがみ付いてる
和くん。

幼く退行気味とはいえ、賢い和くんは
この先の展開を予想しているんだろうな…って。

だからエコー検査だけでも嫌なんだと思う。

結果が出てしまうからね…

翔「かず…手握ってるから少しだけ寝転んで
くれる?」

こいつもきっとそう…

検査を受けさせるのには、それなりに覚悟が
必要だったはず。

ほんとは智くんも一緒でも良かったんだけどね…

でもそれだと「智にぃに縋って、俺の言うこと
聞かなくなって検査できないから」って
翔くんが判断した。

兄ちゃんとしては辛い決断だったはず。

でも、今となっては「やっぱりこれで良かったな」
って言ってあげられる。

さすがベテラン医師の判断。

患者の心情、よく分かってる。

和「…っ、んっ…」

翔「泣かなくて大丈夫。いるからな…」

頭を撫でて、胸元をさすって…

翔くんの力で、だいぶ落ち着いてくれた。

「さて、始めようかな…」

俺にだって覚悟がいる。

和くんは俺にとっても大切な人だからね…

「ちょっとジェル冷たいよ?始めていい?」

和「…っ、んっ、ん…」

「よしよし。いい子だ…笑」

涙をポロポロと零しながらだけど、頷いて
くれたから検査を開始する。

和「…っ、すぐ、終わりが、いい…」

「ん、もう少しね。ちゃんと診たいから
待ってね」

重要なところは記録しながら進めていくから
意外と時間がかかってしまって…

それが和くんの不安を煽ってしまったみたい。

和「…っ、んっ、んくっ…おわり、がいい…」

翔「かず。手はだーめ。ほら…ジェル付いちゃう」

和「…っん、や…、…んくっ…」

翔「こーら。かず?怒るよ?」

伸びてきた手が検査を阻止しようとする。

お腹に触ったから手にジェルが付いて…

翔「かーず!」

きちんと検査を受けさせたい翔くんが
和くんを叱る。

心配だもん…翔くんの気持ちは分からなくは
ないけど。

和「…っ、や…、もう、…ない」

今の和くんには相当堪えてしまう…

和「…っ、んっ…、や…」

泣き方が激しくなって、あんなに縋ってたのに
翔くんの手もパタパタ払って。

「手術しない…」って…

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作者名: | 作成日時:2015年10月17日 13時

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