2020.【5】 ページ20
［潤side］
翔「かず？ここ痛い？」
和「…っ、ん…」
翔「両足？こっちだけ？」
ベッドで何度も寝返りを繰り返す和は「足が
痛い…」って。
翔にぃが「ここが痛む？」とか「関節痛みたいな
感じ？」って質問しても、唸るか「痛い」って
呟くかのどっちかで…
翔「ん〜…いまいち分かんねーな…」
翔にぃも首を傾げてる。
でも「データは異常なかったし、精神的なものだと
思うから、湿布貼ってやろうかな」って。
和「ん…ん〜…」
翔「痛いな…湿布貼ったら少しはラクになると
思うから。もらってくるから待ってて？」
和「…っ、んっ…ん〜…」
翔「潤にさすっててもらいな？」
「あ、うん。どの辺？」
和「…んっ、ん〜…」
翔「…笑。たぶんね、この辺。
さすって温めてやって？」
頷いたら「頼むな！」って翔にぃの笑顔。
カッコよくて大好き。笑
「かず…足、さするな？」
和「んっ、ん…」
モゾモゾ動いて辛そうだけど、寝返りは
うたなくなったから足に触れさせてもらう。
相変わらず高熱。
それに、痩せたよね…
翔にぃに言われた通り、ふくらはぎの裏辺りを
さすっていたら眠ってくれた。
今はね、和がゆっくり眠れるのが俺らにとっては
何よりも嬉しい。
翔にぃが戻ってきて湿布を貼っても起きなかった。
翔「これで少しでも痛み和らぐといいけど…」
布団を掛け直した後も上からさすり続ける…
「足、細くなっちゃった…」
翔「…ん」
「また元に、戻る…？」
翔「…ん」
「…っ、んっ…フットサル、できる…？」
翔「ああ。できるよ。泣くな…」
弱った和からは、走り回る姿が想像出来なくて
思わず涙が零れてしまう。
翔にぃはそんな俺を抱き寄せて「泣くな。
大丈夫だから」って慰めてくれる。
病気を治す為って分かっていても、副作用が憎い。
抗がん剤の副作用に苦しめられた体はボロボロ…
和から生きる意欲を奪ってしまう気がして
「もうやめて…」って願ってしまう。
「治してほしい…」って頑張っていた和だけど
「もうやだ…薬、やらない」って弱音を吐くことも
多くなってきた。
笑うことも少なくなって、苦痛に顔を歪めて
いることがほとんど。
自分の体の限界って、分かるのかもしれないね…
和は「もういい…」って泣いたり、兄貴達に
甘えることが多くなった。
ちょっと幼く退行してる感じ。
それが少しでも逃げ道になってくれるようにと
願う。
俺は全力でサポートがしたい…
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作者名：空
| 作成日時：2015年10月17日 13時
