5人で生きてゆく…part41 (ページ13)

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2013.【4】ページ13

［潤side］

誰かがバタバタと
走る音で目が覚めた。

『和の体調でも悪いのかな…』って思って
急いで部屋に行ってみたけど「目眩だから
心配しなくていいよ」って智にぃが教えてくれて。

そしたら和の口が「まさ、にぃ…」って
小さく動いたんだ。

智「翔が見に行ってくれてるけど…戻らないね…」

「じゃあ、俺みてくる！」

昨日、泣いてたし辛そうだったから…

だけど部屋は空っぽで翔にぃもいない。

1階に降りたら、玄関へのドアが開けっぱなし…

外にいるのかな…ってドアを開けてみたら
翔にぃの背中が見えた。

振り返った翔にぃは、明らかに焦った顔を
していて…

「まさきが、出ていっちゃった…」って呟く。

「出ていったって…どういうこと…？」

状況が繋がらない。

立ち尽くす俺に「とりあえず和のところに
いってやろう？」って翔にぃ。

さっきまでの焦った様子は少しもなくって。

いつも通りに頼もしく笑う、
お兄ちゃんの顔してる。

部屋に向かいながら「雅紀、声が出なくなって。
取り乱してたんだ。和に会ったら探しにいこう」
って翔にぃが教えてくれた。

和「…まさにぃ？」

真っ先に、雅にぃの心配をする和にも
落ち着いて状況を説明してくれて。

和「おれも探しにいく」

翔「ん。でも、まだ目眩するんだろ？」

和「でも…俺がにぃ達のこと呼んだからだもん…」

泣きながら「俺がコールボタン押したから
智にぃと翔にぃ来てくれて、雅にぃが一人に
なっちゃったんでしょ？」って和。

智「おいで…大丈夫だから…」

そんな和を智にぃは抱きしめて背中を優しく
さする。

翔「お前のせいじゃねーよ…？」

和「…っ、んっ…んっ…」

翔「目眩の症状落ち着いたら、智にぃと
車で探しにきてくれる？」

和「…っん、…ん、わかった…」

俺と翔にぃは着替えてから、先に家を出た。

翔「一生懸命でさ…責任感が強いからこそ、
あいつ、悩むんだよな…」

そうだよね…雅にぃはいつだって一生懸命。

翔「なんて言葉をさ、掛けてやったらいいんだろ…
なんて言ったら、あいつは救われるんだろ…」

珍しく自信をなくしたみたいに俯いて
ボソボソと呟く翔にぃ。

翔にぃに分からないこと、俺には到底分からない…

ただ、雅にぃは無責任な人間ではないってこと。

それだけはハッキリしてるよね。

あんなに優しくて気遣い屋さんで責任感が
強いんだもん。

それは雅にぃをずっと見てるからこそ、
言えること。