1897.【2】 ページ47
［智にぃside］
和と潤の友達から
連絡がきて、海に2人を迎えに行って
そのまま帰宅した。
翔に連絡を入れたら「意識があって、体温が
平熱なら、とりあえず大丈夫」って
言われたから。
早退してきてくれるらしい。
「体、温めなきゃね。お風呂入れる？」
和「…ん、…ゅん、と…」
「潤とだって。いい？」
潤「…ん」
小さく震える和を支えて、潤はお風呂に
いってくれた。
その間に、スープを温める…
もしかしたら大惨事になっていたかもしれない
今回の事故。
『2人の前では冷静でいなきゃ…』って思いで
頭の中がいっぱい…
海に着いた時には、防波堤の上の双子を
人目も気にせず思いっきり
抱き締めちゃったけどね。
もう二度と味わいたくない
『大切な人を失う悲しみ…』を思い出して
しまいそうで必死だったから…
翔「ただいま〜！」
雅「あひゃ！翔ちゃんと一緒だった〜」
しばらくして明るい声が2つ。
状況は話してあるから、不安もあるだろうに
有難いね…
翔「様子どう？」
「ん。とりあえず大丈夫かな…」
翔「よかった…」
雅紀は風呂に声を掛けにいってくれて
ついでに「しっかり温まれよ〜」って
伝えてくれて。
そのお陰か、風呂上りの双子の顔は心なしか
ホッとしたように見える。
「夕飯の前に、とりあえずスープ飲んで
温まろうね」
潤「ん…ありがと」
和「ありがとう…」
スープのカップを手に、ソファーに座った2人に
さり気なく近付いた翔。
少しの時間、黙ったまま正面に座って
それから「おかえり」って頭を撫でた。
翔「かず？ちょっとだけ診ていい？」
和「…」
翔「熱計って、聴診だけ。な？」
和「…ん」
俯いてた顔を上げて、小さくだけど頷いた。
翔「飲みながらでいいからね」
和がもう一度頷くのを確認してから、翔はそっと
隣に座って体温計を挟ませる。
翔「…もう寒くない？」
和「…ん」
和がリラックスするのを時間を掛けて待ってから
今度は聴診器を滑り込ませる。
しばらくTVの音だけが響く空間…
翔「よし。大丈夫だよ、かず…」
静かに聴診器を置いた翔の手が和の頭へと伸びて
そのままギュッと抱き締める…
翔「…水、冷たかっただろ？」
和「…っ、ん…っん…」
我慢してたんだろうね…
翔の温もりと優しい言葉で溢れ始めた和の涙。
クタッと力を抜いて体を預けて甘えてる。
『よかったね…』って雅紀と潤と頷き合う。
翔に診察してもらって『大丈夫』って言葉を
もらって初めて、安心できるから…
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作者名：空
| 作成日時：2015年5月2日 14時
