1896.【守って…溺れる】 ページ46
［潤side］
シ「ほら、取ってこい！」
「ウォンッ！！」
和「あっ…そんな遠くに
投げんなって、もう…笑」
シ「ごめん、ごめん。笑」
和「あらしが可哀想だろ？」
シ「…笑」
防波堤の上でみんなでワチャワチャ。
珍しく、あらしも一緒に海に遊びにきたんだ。
シンが投げたボールを、あらしは嬉しそうに
追いかけてる。
持ってきたビーチボールで遊んだり、ちょこっと
釣りをしてみたりして、思いっきり楽しんだ。
和「はぁ〜…休憩」
お菓子を広げて休憩。
そんな俺らを黙って見ていたあらし。
きっと退屈になったんだろうね。
近くにあったボールを転がして
単独で遊び始めた。
みんなで「元気だね〜」なんて感心して
笑って見てたんだけど…
『あっ…！！』
パチャッ…
勢い余って海へと落ちたボール。
そこまでは良かったんだけど…
和「…っ！あらし、待って…」
あらしが防波堤の上から飛び込むのを躊躇しながら
ボールを覗いてる。
その姿は『とりにいかなきゃ…』って
勇気を振り絞ろうとしているように見える。
一歩間違えば飛び込んでしまいそうな状態…
キャンプに行った時、雅にぃが川に入れて
遊ばせていたけど、あんまり水は得意そうじゃ
なかった。
和もきっと、そのことを覚えていたんだと思う。
かなり焦った感じで、あらしの元へ駆け寄る。
でも…
そんな和の姿を見て、あらしは「ウォンッ！」って
鳴いて飛び込もうとしたんだ…
『ぼくにも できるよ！』
『みてて♪ 』
そんな風にも聞こえた鳴き声。
和「…っ！だめっ…！」
バッシャーン…
あらしを守るように身代わりに海へ…
「クゥーン…」
和の体は一回転しながら海へと転落。
「かず！！」
服も着たままだし、この時季の水温…
和は水面から、すぐに顔を出したけど
水を飲んでしまったらしくゴホゴホと激しく
むせ込んでる…
ケ「誰か呼んでくる！！」
防波堤へは自力では上がれそうにない。
マ「何か捕まる物…」
みんなが必死になって動いてくれる中、俺は
『助けなきゃ！』って思いでいっぱいになって…
リ「ばか！やめろっ！」
夢中で制服を脱ぎ始めたところをリュウに
止められる。
「助けなきゃ！」って叫んだら
「無理だから待て」って言われて…
冷静な判断なんて出来ない。
和はパニックになりかけて、さらに水を飲んで
しまっているし、バシャバシャと必死で
もがいているのに…
「離せ、バカ…行かせろ！」
手を振り解こうとしたところで
助けがきてくれた…
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作者名：空
| 作成日時：2015年5月2日 14時
