1890.【智にぃの長期入院】 ページ40
［雅にぃside］
いつもと変わらない夕飯時。
俺と和が海老フライを取り合ってワチャワチャ
騒いで、潤と翔にぃが笑ってる。
智「ふふ…」
いつもみたいにフニャッと笑った智にぃが
立ち上がる。
翔「智にぃ、お茶？俺が淹れてくるよ？」
智「んーん…ちょっとトイレ…」
何だかいつもと調子が違う智にぃの声のトーン。
歩き始めた背中に、自然とみんなの
視線が集まる…
…ッバタン…
倒れる智にぃを前に、誰ひとり動けなかった。
『え…？どうしたの…？』
『何が起こったんだ…？』
頭の中はパニック寸前…
和「…っ、さとにぃ！！」
叫んで駆け寄った和を見て『ハッ…』とした。
情けないけど、それくらいフリーズしちゃってる
自分がいて…
翔「大丈夫。ちょっと診てみようね…」
翔にぃも不安でいっぱいだと思うんだ。
でも、こうして安心感を与えてくれる。
その後も「救急車には雅紀が乗りな？
俺は双子乗せて、車で追いかけるから」って
言ってくれて。
取り乱した俺に運転させるのは危ないって
判断もしてくれて…
ほんと翔にぃには感謝しかない。
和「…っ、んっ、…とにぃ…」
潤「…んっ、さと、にぃ…っ…」
不安でポロポロ泣く和と潤をしっかりギュッと
抱き寄せて「智にぃのこと頼むね」って
笑った翔にぃ。
今度はしっかりと頷けた。
俺だってお兄ちゃんだもん。
救急車の中ではしっかりと智にぃの手を握る。
『どうして倒れちゃったの…？』って、疑問は
頭の中をグルグルと回ってるけど…
智「…ん、…んん…」
救急車の中で意識を取り戻した智にぃは
救急隊員の人の「分かりますか？」って言葉に
頷いていたから、ちょっと安心。
だけど…
当たり前だけど救急車のが先に病院に到着したから
俺以外は智にぃに会えず。
和「…っん、…とにぃ…」
翔「簡単な検査だけ済ませてくるんだって。
大丈夫。な？」
潤「…っ、…ぐ、…える？」
翔「ん、すぐ会えるから…」
涙を流す双子を宥めながら「雅紀もここに
おいで？」って翔にぃが呼んでくれて…
「…っん、しょーちゃん…」
隣に座ったら涙が止まらなくなっちゃった。
翔「大丈夫。心配だったよな…？」
「…っ、ん…、なん、で…？」
翔「分かんない。でも検査してもらってるから
大丈夫。笑顔で待ってよう？」
「…っん、んっ…」
ごめん、しょーちゃん…
少しだけ泣かせてくれる？
智にぃが戻ってくる頃には、笑えるように
頑張るから…
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作者名：空
| 作成日時：2015年5月2日 14時
