5人で生きてゆく…part38 (ページ4)

今日:13 hit、昨日:61 hit、合計:849,196 hit

1854.【4】ページ4

［翔にぃside］

知らない場所で発作が
起きて、心細くて不安だったんだろう。

それに加えて点滴も嫌で。

智にぃにくっ付いて、離れなくなっちゃった。笑

智「一緒にいるから。これだけ頑張ろ？」

和「やだ…」

「意地でも離れない」って強さで引っ付いて
首を振り続けてる。

可哀想だけど、このまま強行突破して早く
終わらせてやった方が良いと思って。

「やっちゃうね？」って智にぃに目で合図。

ギュッとしがみ付く和に負けないくらいの強さで
ギュッと抱き締め返した智にぃ。

和「…んっ、…ない、しないっ…」

気が付いた和が泣いて叫ぶけど…

「ごめん、これだけ頑張れ…」

手首を固定して、手の甲に針を刺す。

和「…っ、ぎゃー」

これだけ不安定だったらパニック起こすのは
当たり前。

あんなに智にぃに縋ってたのに、体を反り返らせて
叫んだ和は、そのまま意識を失う。

「ごめんな…」

思わず謝ってしまった俺に、智にぃは優しく
笑い掛けてくれて、それから和を抱き寄せる。

智「大丈夫。ずっとこうしてるから…」

智にぃの腕におさまった和が安心している様に
見える…

智「家に帰ったら、ゲームやらせてあげようね…」

「ん、そうだね」

涙が溢れた頬をタオルで拭いてから
診察室のベッドにそっと寝かせる。

発作を起こした時の状況を智にぃから
聞きながら「不安だっただろうね…」って
頷き合う。

「ゲーム♪ 」って笑ってた今朝の和を思い出すと
堪らなくなる。

楽しみにしていて、張り切っていたのに
発作に迷子…

今回のことが、どんな影響を与えるかは
分からないけど「あんまり苦しまないといいな」
って…そう思う。

そんな俺たちの思いが通じたのかもしれない。

目覚めた和は「もう苦しいのなくなったよ」って
可愛い顔してニコッと笑い。

診察室のベッドから両足を下ろしてブラブラ。

「聴診だけさせて？」って迫ったら「え～…」とか
言いながら、ベッドにコロンと転がり…

和「ふふ…治してくれて、ありがと」

そのくせ、この態度。笑

もうね、こっちが付いていくの大変。

「深呼吸してて？なるべく深く吸ってな？」

和「ん…」

聴診器を当てながら、胸の痛みがないかどうかは
和の表情を見て判断する。

すぐ誤魔化そうとするからね。笑

和「さとにぃ…もっと、こっち…」

俺があまりにも見過ぎたからか、和は表情を
曇らせて智にぃを引き寄せる。

智「よかった。元気になって…」

和「ん」

智にぃの笑顔に和の表情も明るくなる。