1870.【4】 ページ20
［智にぃside］
雅「がんばれ〜！！」
手をブンブン振り回して
グランドの2人に声援を送る雅紀。
そんな雅紀を見ながら「声、でかいって…笑」って
苦笑いしながらも手を振り返す双子。
なんだかんだ、雅紀のそういう一生懸命なところが
和と潤は大好きなんだよね。
試合開始の合図と共に、ボールを追いかけて
走り回る2人。
何かに一生懸命に打ち込むのは素敵なこと。
遊びでもスポーツでも勉強でもいい。
『好きなことを全力でやるって気持ちいいだろ？』
両親が亡くなって間もなく、幼い双子に
そう熱弁していた雅紀のことを思い出す。
苦手なこと、出来なかったことを『もういい…』
って投げ出すことの多かった和と潤。
『出来ないもん』『好きくないもん』って
よく膨れて拗ねてたっけ。笑
そんな2人に『諦めるな！』『最後まで
やり遂げろ！』って雅紀はよく喝を入れてた。
加減知らずで、よく双子を泣かしていたけれど
今となっては、雅紀の熱意がしっかりと2人に
伝わってくれたんだな…と思う。
だって、目の前の2人は諦めない。
フットサルに限ったことではなくて、取り組むこと
全般ね。
雅「走れ〜！！奪うまで諦めるなー！！」
翔「…っ！ちょっと、雅紀…」
雅「へっ！？」
翔「あの子、相手チームだから…笑」
雅「あ…ほんとだ！あひゃひゃ！」
雅紀は恥ずかしがって笑った後で
「でも頑張れ〜！」って。笑
その真っ直ぐな気持ち。
誰にでも分け隔てない気持ち。
それを双子に伝えてくれたことに
俺も翔も感謝してるから…
雅紀にしか出来なかった事だと思うから。
和「お腹減った〜…」
雅「唐揚げだから、楽しみにしてて？」
和「え〜…ハンバーグが良かった。
なんで雅にぃの好物なのさ。
俺らが頑張ったのに…笑」
試合帰りの車の中は、決まって夕飯のメニュー。
雅「俺だって応援頑張ったもーん！」
和「チームの名前間違えたくせに！！」
雅「なんだとっ！こんにゃろっ！」
和「きゃはっ！きゃははっ！」
双子のチーム名を間違って覚えていたらしい雅紀。
潤「恥ずかしかったんだからね！笑」
雅「でも、あれは間違える人いるって！」
空かさず、和と翔に「いねーわ！」って
突っ込まれて「あひゃひゃっ！」って
笑い声が響く。
和「あらし〜！ただいま〜♪ 」
「ウォンッ！！」
5人と1匹の笑顔が溢れる家。
双子の成長は、時に寂しくもあるけど…
でも、やっぱり嬉しい。
『ずっと見守っててね…』
今日もそっと祈る…
END
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作者名：空
| 作成日時：2015年5月2日 14時
