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［翔にぃside］
和「…俺も、だいじ…」
和も智にぃも辛そうだけど。
でも、お互いを思い合ってることは確実で…
2人は温かい空気に包まれている。
和「…さん、ぽだけいく…」
和は俺が渡したタオルで涙を拭くと
智にぃと一緒に車から降りてきて
俺の手を握った。
緊張で冷たくなった手が
和の緊張の大きさを教えてくれる…
カ「今日はどこいってみようか？」
和「…かない。…いしょ、いかない…」
カウンセラーから距離をとって後ずさる和。
カ「じゃあ、お兄さん達と一緒に
行っておいで？」
コクンと頷いて俺らの手をギュッと
握ってくる和。
「いいんですか？」
カ「うん、今日は遠慮するよ。笑」
頭を下げた俺らに手を振ってカウンセラーは
病院に戻っていった。
和「ねぇ、いこ？」
途端に笑顔を取り戻して、俺らの手を
ぐいぐい引っ張る和は嬉しそうだ…
和「あ！池ある！鯉いる！みてみて！！」
カウンセラーと一緒に何度も通った
病院内の庭…
初めての散歩の様に喜ぶ和。
カウンセリングで歩いてても、
緊張で周りが何も見えてなかったん
だろうなって、今さら気が付かされる。
智「あったかいね〜」
和「うん！ここ座ろ！！」
ベンチに座ると足をパタパタさせて、
周りをキョロキョロして「楽しいもの
ないかな〜」って顔でニコニコしている和。
何だか少しだけ、発病前に戻った気がした。
智「かず、学校楽しい？」
和「うん、楽しいよ！今度ね、航空写真！？
撮るの。文字作って、空から写真！」
智「へぇ〜」
和「あとね、川原にも遊びに行くよ！
魚とかね、見にいくの！」
智「楽しそうだね。」
和の話を聞きながら、小学生って
まだまだ幼いんだなって改めて思う。
初めてやることが沢山あって、
毎日が新鮮で楽しいんだろうなって。
いつものカウンセリングは「早く
帰りたい」って訴えてくるけど、今日は
「まだいたい！」って聞かなくて…
結局、夕方まで散歩していた。
家に帰ってからも機嫌が良くて、グズグズ
言いながらも薬を飲んでくれたし
雅紀とキャッキャしながら、錠剤を飲む
練習もしている。
和なりのペースで少しずつ、心にあるものを
話していけたら、きっとラクになれる日が
くるんだろう…
医者もカウンセラーも和のことだけを
考えて、いつも一生懸命にサポートして
くれている。
その温かさに気が付いてくれたら
2人のことも、和はきっと大好きになる…
俺はそんな日が訪れることを楽しみに
応援したい。
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作者名：空
| 作成日時：2013年4月5日 8時
