46.【カウンセリング】 ページ46
［翔にぃside］
退院してから
何度か挑戦している
カウンセリング。
でも、一度もカウンセリングルームに
入れたこともなければ
何一つとして検査のことは話せていない…
だけど「時間をかければ…」という
カウンセラーの言葉を信じて
俺らは和に寄り添った。
カ「どうしよっか。散歩する？」
今日もいつも通り、カウンセリングと
分かった途端に泣き出して
車から降りてこなくなった和を
カウンセラーは迎えにきてくれた。
和「…」
俺らから、最大の距離をとって
反応を示さない和。
智「どうする？」
和「…にぃと、だけ」
智にぃが「分かった、おいで？」って
声を掛けたら、素直に降りてきた。
俺らに挟まれながらも
何度も後ろを確認してカウンセラーの
姿を確認する和。
とても一緒に散歩しているとは
言い難い環境だけど
少しでも距離を詰めようとすれば
和が拒否して泣き出すから。
カウンセラーはこの距離を保った上で
和に様々なアプローチをしてくる。
和が抱えている今の最大の問題は
突端恐怖症よりも人間不信だ…
俺ら以外の大人は信頼しようとしないし
近付かれることさえ拒む。
何もしないって伝えてやりたいんだけどね。
それを伝えるのは、なかなか難しい…
どうしても治療や処置は必要になるし
そうなってくると同じ部屋にいる
カウンセラーも「恐いことをした人」と
インプットされてしまうわけで…
それでも、先生もカウンセラーも
「和くん、かずくん」って可愛がって
大切にしてくれる。
カ「かずくんの好きなゲームどれ？」
診察しにきた先生にくっついてきた
カウンセラーは、ベッドサイド近くまで
寄ってきた。
和「…」
和は体にギュッと力を入れて
俺の手を強いくらい握ってくる。
「どれが好きなんだっけ。これだっけ？」
和「…」
あえて違うゲームを指差してみたものの
和は緊張で固まってしまった…
前までの和だったら、このカウンセラーにも
懐いてさ、喜んでゲームの相手をしてもらう
だろうに。
潤「和のね、好きなのはこれ！！
後ね、これも好きだよね？」
潤は固まってる和に「ね、かず？」って
尋ねて「やっぱこれだって！」って
嬉しそうに報告してくれた。
カ「すごいね。潤くんは和くんのこと
よく分かるんだね。」
言葉を発さずに会話する2人をみて
カウンセラーは感心したように笑った。
潤「だって、双子だもん。ねー、かず！」
潤の真っ直ぐさが可愛くて、
みんなで笑った。
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作者名：空
| 作成日時：2013年4月5日 8時
