36.【17】検査 ページ36
［雅にぃside］
智にぃは和の検査の
一覧表を作ってやって
終了したらチェックして
励ましてやってる。
智「すごいね、ほら1つなくなった。
あと何個かな〜」
検査室から戻ってきても
一向に泣き止まない和に、いつも智にぃは
最後まで付き合ってあげてる。
智「あと3つだ。退院できるんだってよ？」
和「…んぶ、チェックつい、たら…？」
智「そうだよ〜。もうちょっとだね。」
和「ん…」
ほんとは検査と並行してカウンセリングも
進めていく予定だったけど、
和はあのことを話すと分かるだけで
過呼吸に陥ってしまう…
だから、退院して少しでも環境が
落ち着いてからカウンセリングを
始めることになったんだ。
焦って逆効果になったら意味ないからね。
「やっぱり駄目だった？」
翔「うん…全然。薬いっぱい使ったから
夕方まで起きないかな。」
検査室から戻ってきた智にぃも翔にぃも
疲れ切ってる。
今日はエコーだけだったんだけど、
和は恐怖でじっとしてることが出来なくて
眠らされたみたい…
夕方、目を覚ましたけど、和は恐がって震えて
「こわかった…」って繰り返して
ずっと泣いてる。
和にとって今は痛みより恐怖が勝っているから
可哀想だ…
普通ならラクにできる検査なのにさ。
智「そんな泣いたら疲れちゃうよ〜。
ほら、あと2つ。もうすぐお家だね〜」
智にぃが抱きしめながら、優しく声を
掛け続けたら和はコクコク頷いて
智にぃの胸に顔を押し付ける。
少しでもラクに乗り切れますように…って
俺らの願いも虚しく…
翌々日に行われたカテーテル検査は
痛みと恐怖で泣き叫びっぱなし。
俺は途中から見ているのが辛くて
和の体を抑えることが出来なくなって…
ただ部屋の隅で俯いて謝ってた。
「…めんね。かず。ごめんね…」
翔「まさき？立てる？」
翔にぃの声がして顔を上げたら
いつの間にか検査が終わっていて…
「…ごめんなさい」
自分が情けなくて嫌になる。
和が頑張ってるのに俺は部屋の隅に逃げて
現実逃避してたんだ…
なのに翔にぃは、俺のことをギュッと
抱きしめてくれた。
翔「辛いときまで頑張らなくていいよ。
そのために5人なんだろ？」
「でも…かず、頑張ってるのに…」
翔「うん、でも雅紀も頑張ってるだろ？」
翔にぃはニコッと笑って
もう一度抱きしめてくれた後、
手を引っ張って起こしてくれた。
その足で病室に向かう。
だけど、ドアを開けるのが恐い…
どんな顔で和に会えばいいのか、分からない…
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作者名：空
| 作成日時：2013年4月5日 8時
